無意識日記々

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音楽は誰のものか

マドンナやビョークの音源流出が話題になっているらしい。記事を読んでいないのでただ「音源流出」の四文字から連想する事を書いてみると、マスター音源の盗難自体はデジタル時代になる遥か前からある。どうやってかスタジオからマスターテープを盗み出し身の代金10万ドルを請求する、なんていう犯罪もあった程。アーティストからすればマスター音源は我が子のように大切な"物体"であるし、制作費もかかってるんだからそりゃあ身の代金払おうかとなるわい。

そういえば、もう古い話だから大丈夫かな、ヒカルも、「HEART STATION」の制作時に音源流出ではと疑われる騒ぎが(ほんの小さく)あった。時期的には最終ミックスや最終マスタリングの前のタイミングで、果たして実際に発売された音源と同じものだったかどうかもわからないのだが、かなり早いタイミングでネット上で"新曲"の音が聴けたのである。

私個人は「今のタイミングで音源を聴くのはアーティストの意向に反する」として結局アクセスしなかった為、その流出音源とやらが結局何だったのかは知るよしもない。

しかし、当時のヒカルのメッセージからは、その事について思うところがあったのではないかと窺わせる雰囲気が漂ってくる。盗人に見立てたくまちゃんを後ろから突き刺す衝撃的なオチは流出犯への憤りを表現したものでは?と当時勘ぐったものだ。ヒカルからしてみればマスター音源は自分の命の欠片を集積させた結晶なのだから自分の分身も同然。それを犯されたというのだからそら思うところはありますて。

今はその頃から比較して随分とクラウド化が進み、更にネット流出のリスクは高まっている。スタジオ作業などは恐らくインターネットから完全に遮断された状況にあるのだろうけれど、今の時代はそれすら"完全には"難しい。ソフトウェアの更新がオンラインのみ、とかPCがWi-Fiを搭載しててふとしたはずみに稼働したりとか、"インターネットに繋がってしまうリスク"は幾つか存在するだろう。今まで以上に慎重に取り扱わなければならない。

しかし、ぶっちゃけ、どこまで行っても怖いのは人間自身である。虚淵脚本かよ。昔のマスター音源流出だってスタジオ勤務の人間が裏切って、という事もあったらしい。ほんまかいな。今だって、道具は変わったが、結局は盗もうという意図がある人間が居て初めて盗難は成立するのだから、本質的な問題は変わらない。もう二度と、あんな殺伐としたオチのくまちゃんツーショットは見たくない。盗むな&盗ませるな。簡単なようで、物凄く難しいな。