無意識日記々

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来たれジャズ女子

さて曲作りにおける期待だが。今回は共作にスポットを当ててみたい。

ヒカルの場合シンガー・ソングライターなので、共作といっても手法が限定される。作曲はピアノ/キーボードが主体、とはいえ、ジャム・セッションでという訳にはいかないだろう。今なら多分、インターネットを通じたデータのやりとりによる方法が主体になりそうだ。6年前STARGATEが「なんて未来的なんだ!」と言っていたのが思い出される。

ただ、しかし、長いスパンで、ではあるが徐々にデータのやりとり以上のものが薫るようになってはきている。愛のアンセムシャンソンのスタンダードナンバーにジャズのスタンダードナンバーをマッシュアップするという手法で度肝を抜いてくれたが、これなどはジャズだけあって生演奏のニュアンスがだいぶ大きい。また、Show Me Love も名のあるロック・ミュージシャンたちを集めたロック・チューンになっていて、ヒカルがコンピューターで打ち込みをしただけではこんな生々しいサウンドにはならなかっただろう。

また、桜流しではThisisbenbrick、ポール・カーターとの共作となった。彼によるYouTubeの動画からすれば、ピアノのアイデアのうち幾つかは彼のものなのだろう。演奏も生だし、ここでも打ち込みからは距離を置いている。

ヒカルがもし、生演奏を意識した曲作りをするとしたらどんな方法があるだろうか。何度も書いている通り、ヒカルは曲作りに打ち込みのリズムによるあの四つ打ちパターンから切り込んでくる傾向があった。それが近年(て2〜5年のスパンだけどな)生演奏に近いサウンドになってきたのは、IvoryIIなどにみられるように、コンピューターのサンプリング・サウンドがかなり生音に近くなった(たぶん、私の耳では聴き分けられない程度に)のが大きい、というのが私の見立てであった。パソコンひとつで随分とリアルなサウンドが出来上がるんだなと。

そうやって生演奏的サウンドに親しんでいく中で曲作りも生演奏に近いサウンドを想定したものになっていったと推察するのが自然ではないか。で、そこからバンドとのジャム・セッションをプロデュースするようになっていったらどうか。要は、殆ど生演奏みたいなサウンドのデモ・テープを携えていってそれを実際に演奏してもらいその中で創造的なアイデアの密度を高めていく、といった具合だ。

特に、こういうのはジャズ・ミュージシャンが強い。ロック・ミュージシャンはどちらかといえば生真面目で、デモテープや楽譜に沿った事をやりたがるものだが、ジャズ系の人たちは「気がついたら即興演奏していた」くらいの、いわば呼吸するのと同じ感覚で新しいアイデアを生み出してくる。

せっかくだから、女子だらけのジャズ・バンドを作ってみてはどうか。ジャズ・ベースサウンドを基調にした宇多田ヒカル流Popsを女子で固める。何か意味があるのかといわれれば話題性とか華やかさとか色々あるけれど、ジャムを通した曲作りの中でヒカルの女性的な感性が遺憾無く発揮されるのはそういう状況なんじゃないかと思ったので。全員年下、とかだったら更にいいかもしれん。ジャズ・ミュージシャンには女性も結構多いので、各パートで一流の女子ミュージシャンを見つけるのも難しくはないのではないか。見つかってもOKを出してくれるかどうかの方が遥かに難しいし。

勿論ジャズではなくロックでもいいし、ヒカルの曲にジャンルなんか無いのだが、ジャズと敢えて限定する事でヒカルのソウルフルなヴォーカルがより一層引き立つのではないかと思ったので。

後は人脈なのだがそれがいちばん難しいわな。どうせなら公開オーディションでもいいけどね。「宇多田ヒカルのバックで演奏してみたい!」というテンションになる女子は、世界にどれ位居るのだろう。千載一遇のチャンスである事は間違いない。そりゃあ、でも、ヒカルの事だから人と人との繋がりを重視するだろうから、知人を介して紹介してもらう、というのが基本路線だろうなぁ。

兎に角、そろそろそういう事をしてもいいような気はしているのだ。東京事変みたいな感じになるんじゃ、とか、じゃあこの間の記事は嘘じゃなかったのねとか色々云われるだろうが、まぁそういう雑音を闇に葬り去るくらいのクォリティーを、ヒカルなら達成できるだろう。実現したら凄いよね、きっと。