無意識日記々

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日本人と低音

昔から「ビッグ・イン・ジャパン」と言って、同じ洋楽でも日本と他の国では人気に落差のあるバンド/ミュージシャンは多い。日本でだけ人気がある、とか逆に日本では何故か人気が無い、とか。

自分の知ってるジャンルの話をすると、例えば日本では大昔から70年代のハードロックといえば「レッド・ツェッペリンとディープ・パープルの二大バンド」という言われ方をしてきていた。これが、欧米でのチャート実績などをみると、ハードロックのジャンルでいえば、レッドツェッペリンだけが突出していて、次に来るのはブラック・サバス、ディープパープルは更にその下のグループだ。つまり、昔から日本ではディープパープルの人気がやたらと高かった。天国への階段とスモーク・オン・ザ・ウォーターだったら後者の方が知名度は上なのではないかという位。

それは、相対的に見れば、レッドツェッペリンの人気が日本ではさほどでもないという事でもある。先述のブラックサバスもそうで、オジー・オズボーンの人気がなければ恐らく来日公演もままならないだろう(ギャラ的な意味で)。他にも、世代を下ればアイアン・メイデンなども欧米に較べて人気が無い。さいたまスーパーアリーナや武道館でライブが出来ていても、相対的には不人気だ。

何か、そういった、日本で何故か過小評価されているバンドたちに共通点がないかと考えてみたら思い当たる点に行き着いた。それらは皆、ベーシストが実力者なのだ。レッドツェッペリンジョン・ポール・ジョーンズ、ブラックサバスのギーザー・バトラー、アイアンメイデンのスティーヴ・ハリスなど、あぁ、そういえば欧米ではスタジアムでばかりライブをするカナダのラッシュも日本での人気がないが、ここには泣く子も黙るゲディ・リーが居る。

一方で日本で人気の高いディープパープルやクイーン、スコーピオンズジューダス・プリーストなどは徹底的にベーシストの影が薄い。音楽的には実力者揃いだが、全体のアンサンブルの中では比重が小さい。ギタリストやキーボード、ヴォーカルの方が重視されている。


思うに、日本人て昔から低音に鈍いんじゃないか。思い当たる事があった。前にラウドネス二井原実がB'zの稲葉浩志と対談した時、「日本人が英語を喋ろうとするとどうしても口先だけの発音になってしまう。ちゃんと低音を響かせればそれだけで英語らしく聞こえる」と言って実演してみせてくれたのだが、成る程、確かに口先の発音は同じでも一気に英語らしくなっていた。つまり、英語圏の人間は普段の会話から低音を効果的に使っていて、聞く方もそれを捉えるように出来ているのではないか。

翻って、日本人は普段の会話であまり低音を使わない為、聞く耳の方も低音に注意を払わずに来てしまうのかもしれない。人間の聴覚がいちばん使われるのはやはり人との会話だろうから。

何故そうなったか、は興味のある所だがそれは置いておくとして、現実として仮に日本人が低音に弱い傾向があるとしたら…という話からまた次回、かな?