無意識日記々

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けものはいてものけものはいない

けもフレからメタリカの話して〜という流れの予定。果たして予定通りにいきますやら。

今話題の深夜アニメ「けものフレンズ」を漸く観た。名作「直球表題ロボットアニメ」にも参加していたたつき監督と福原Pのタッグ作品という事で元々のんびり視聴予定だったのだが、気がついたらNHKがニュースで取り上げる程の人気沸騰ぶり。それを聞きつけて慌てて観る…事もなく、当初の予定通りのんびり視聴させてうただきましたよ。

名作。幾つかの感想を読んだ感じでは「期待度最低の際物アニメが奇跡のブレイク」という評価が大体のところらしいが、なんのなんの。王道ど直球の正統派中の正統派だ。「すごーい!」「たのしーっ!」といった一見頭が緩くなるようなフレーズがキャッチコピーになりつつあるが、実際にすごいしたのしいから何の問題もない。ここがすごい。

比較するなら「ワンピース」や各種ピクサー作品が妥当だろう。各々一言で特性を説明できる明確なキャラクターを造形し、その特性をそのまま活かしたエピソードを30分で簡潔に纏める。その上で旅に目的があり徐々に謎が明かされていき…完全に「ワンピース」の紹介文と同じだ。これを王道と言わずして何というか。

そして、今やその「ワンピース」が失ってしまった(最初っからあんまりないけど)“情報量の厳選”がここにはある。画面も台詞も単純明快でごちゃごちゃしていない。その時その時でカットとエピソードの描写目的の焦点が定まっていてそれを視聴者に丁寧に直球で伝える事を怠らない。したがって視聴者はこの作品を見ながら「意図や空気を読み取る」という余計なコストを支払わなくて済む。それを体現したキャラクターがサーバルちゃんで、視聴者が「あぁそれはすごいかも」と思うやいなや「すごーい」と臆面なく言い、「あれ、もしかしてそれって楽s」と思うか思わないかのタイミングで「たのしー!」と言う(あぁ、たのしーサーバルちゃんに限らないが)。エピソードと台詞が即座に結びついて疲れない。すぐに斜に構えて楽屋受けを狙う深夜アニメ群の中で異質だ。しかし、だからこそ癒やし効果は抜群である。見ていて疲れない。はっきりしたプランをストレスなく飲み込める丁寧な作り込み。クリエイティブの見本のようなアニメーションだ。まだ半分しか放送さ
れていないが、既に古典として評価して構わない。


この、「受け手のストレスを如何に減らすか」というのは実に見落とされがちな課題である。何故なら、Webでリアクションを返してくれる人というのは「アウトプットに対してすらコスト感の薄い」人たちだからだ。即ち、インプットにコストをかけるのなんぞまるでいとわない。コストがある事にすら気付いていない。彼らはテレビ版とブルーレイ版の作画の違いを見つけだしストーリーの矛盾点を指摘しては悦に入る。細かい所まで実によく見ている。

しかしアニメ視聴者の最大多数は見て「面白かった。また観よう。」「つまらなかった。もういいや。」以上の文字的な感想を持たない緩い層だ。彼らにとっては何よりもメッセージの明快さと伝わり易さが大切なのである…


メタリカまで話行かなかったな…続きはまた次回だね。