無意識日記々

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あなたの言葉とものがたり

全体を覆う茶番臭、か。漫画的というか戯画的というか、演じる方に「これは作り話ですよ」という態度が透けて見えるから…だから入り込めない、という人と、だから安心して楽しめる、という人が居る。前者の人はなかなか「DESTINY 鎌倉ものがたり」を楽しめないだろう。私は後者なのでよかった。

この映画には現実とリンクするような逼迫したメッセージとかは薄い。せいぜい、夫婦愛や家族愛を賛美してますね、という程度か。内容としてはもっとシンプルに、軽妙なやりとりや人情話、更にはファンタジックなVFXの技術なんかを楽しむのがいいだろう。なので、茶番臭というのは、全体的にコントっぽいと言うかコメディと人情話の…あぁ、今は亡きリセットリミットの芸風に近いかな。平くんの脚本はもっと複雑だけど。それはさておき。

ヒカルはそういうの好みじゃない気がする。漫画やアニメだったらいいのかもしれない。それでも、徹底的なエンターテイメント娯楽作品よりはエヴァンゲリオンのような、クリエイターの生の叫び声が聴こえてくる生々しい作風の方が好みなんじゃないかと思ってしまう。

宇多田ヒカルの言葉』のまえがきにもそのシリアスな態度が表れていたな。空気を読んだだけと言われてしまえばそれまでだが、装丁をはじめとしたこの本の佇まいに馴染む、冗談を差し挟まない真面目な文章だ。これは『点』の序文にも通じるものがある。漫画を読む時は違うのだろうが、文章のみだと徹底して硬派だな。自分の作風がよくわかっているというか、自分の支持者の傾向がよくわかっているというか。

そうそう。そういえば『宇多田ヒカルの言葉』の奥付に見逃せない一文があった。要約すると、ヒカルが一部歌詞を書き改めているそうな。恐らく、歌詞カードとして当時掲載されたものと実際に収録されたトラックに差異があるのだろう。早速出始めに『タイム・リミット』と『A.S.A.P.』をチェックしてみたが、書き足しはなかった。残念。まだそこしか見てないので、今後ゆっくり検証していこうかな。


…という具合に今週は「DESTINY 鎌倉ものがたり」と『あなた』と『宇多田ヒカルの言葉』の話があちこち絡み合いながら進んでいきそう。テーマ別に書き分けられるほど私器用じゃないので、その辺は勘弁してやってくださいな。