無意識日記々

mirroring of http://blog.goo.ne.jp/unconsciousnessdiary

降雪と積雪で早退中の本日。

宇多田さんは、その意味において「旧時代的な」存在である。未だに音楽目的でここまでCDを買わせれる存在は最早数える程しか居ない。

「Pop Music」でないなら、日本の音楽は元気なものである。20年前にフジロックフェスティバルが開始されて以降、ロックバンドたちはこぞってフェスティバルに出演するようになり、今やフェスは乱立状態だ。CDはおろか配信も買わないけれど、お祭りには参加するという層はかなり居る。それをロックファンと呼ぶかどうかは兎も角、商業的に成立しているのは事実だ。いつまでこの隆盛が続くかはわからないが、今や寧ろ「Jpop Era」より長い期間このモデルが生き生きと動いているとすら言いたくなる時期になってきた。

そんな中、ヒカルさんが12年ぶりにライブ・アーティストとして帰ってくる。つまり、ヒカルのツアーが2018年という年に、どう捉えられるかが問題なのだ。

90年代の頃はCDが売れればツアーに客が来るし、ツアーに客が入るならCDも売れていた。今のGLAYのように、その夜の5万人の観客のうち1割しか最新曲のCDシングルを買っていない、なんて事態はほぼ有り得なかったのだ。ライブを楽しむ層はCDを買っていた。CDは買わないけどライブは行く、というスタイルは今よりずっと少なかった。

ヒカルのアルバムは何百万枚も売れていた訳で、ライブに来る数十万人の多くは当然のようにCDを買っている。CDを買ったからといってライブに行く訳じゃない、という層が最大多数派なのは今も変わらないが、様々な割合は変化している、という訳だ。

12年前のツアーにおける最新アルバムは、当時オリコンチャートにおいてミリオンに到達していなかった。それで20万人規模の動員だった。

目下、(更にもう一枚アルバムがリリースされる予定であるとはいえ)最新アルバムである『Fantome』は、CDの出荷枚数と配信件数を合わせるとミリオンを突破している。ここでもあらゆる側面において単純比較は許されないが、しかし、市場規模を考えると「『ULTRA BLUE』より売れている」と言って構わないのではないか。

であるならば。「CDを買ったうちでライブに行こうとする人の割合」が昔と変わらないならば、チケットの売上枚数或いは申込数は12年前を上回る可能性が高い。そして、恐らく、実際に「CDを買ったうちでライブに行こうとする人の割合」は増えているのでなかろうか。

更に、今はここに「CDは買ってないけどライブには行こうとする人」が加わり、その数は12年前より遥かに多いのかもしれない。

この、"遥かに"になるには、宇多田ヒカルライブコンサートが"フェスティバル"と見做されるかどうかが鍵となる。ロックフェスと同じノリでチケットを購入する動機がどこかで生まれれば、その数は数万人規模になるかもしれない。ここが、昔との違いである。ことライブコンサートに関しては、昔のような「流行歌」がなくても客が来る可能性がある。方法がある。今はまさに時代が違うのだ。今回のツアーの総動員数を読むのは相当難しいぞ。