無意識日記々

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謎めいた焦らしに満ちてる曲構成

さて、ではまずは『Good Night』の魅力を語る所から始めないとね。映画に合う合わないを言う前に、この曲自体に魅力がなくては話が始まらない。タイアップ先に気を遣いすぎてこぢんまりとした出来になってもつまらない。

無事?御陰様で?(笑)『Good Night』は単体で非常に魅力的な楽曲に仕上がっている。この曲がアルバムラストを飾っても違和感がなかった位に印象に残る曲だ。実際、自分にとっては「2枚組アルバムの1枚目のラスト曲」みたいな位置付け。だってタイトルが「おやすみ」なんだもん。ラストでしょそりゃ。

しかし。そんなタイトルな癖にサビで歌われるのが『Goodbye』の繰り返し、ってところがこの曲のこの曲たる所以なんだよね。ひとしきり『Goodbye』を繰り返した後に漸く『Good Night』が現れて収まりがつく、っていう構成がこの曲のまず第一の特徴。

それが1番のサビで、2番は更にそこからはぐらかす(笑)。何しろあれだけ『Goodbye』を連呼しておきながら『さよならなんて大嫌い』と言い放つのだから。一体どういう事やねんと思っていると2番のサビは『Good...』って歌ったっきり『bye』を歌いやがらねぇ!(笑) どういう事だってばよ、次は歌うのか?いや次かな?と思ってる所にポロリとピアノが入ってくるのが絶妙なんだよね。あのピアノが「まぁまぁそう慌てないで、もうちょっと待っててみ? もっかい繰り返して、話はそれからだよー」というメッセージを送ってくれるからあの場面で聴き手は『Good...』の中途半端さを我慢できるのだ。そこからやっと『bye』を歌ってくれた時のカタルシスね。演奏もそこから盛り上げていって、最後の最後にまた1番と同じようにやっとの思いで『Good Night』に辿り着くと同時に盛り上がっていた演奏が潮の退くが如くスーッと静かになってゆく。この、1番と2番に跨った『押し退き焦らし・はぐらかし』がこの曲
の真骨頂だよね。歌詞に出てくる『謎解きは終わらない』ってのは、すぐに安易に答を求めようとする受け手側に対して焦らしてはぐらかしてなかなかピークに持ってこないこの楽曲自身の事を歌っているようで、なんというか、こういう自己言及気味な歌詞っていいよねぇ。それ自体が謎めいている。

『Goodbye ... Good Night』
『Good ... Goodbye ... Good Night』
この構成の中で『....』の部分こそが『Good Night』を『Good Night』たらしめている、って話でした。