無意識日記々

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#裸婦抱く 宇多田ヒカルの特別

『First Love』。自分は今回でヒカルのコンサート8回目だが、この曲のイントロが流れてきた時の聴衆の反応はどの公演でも(場所がハワイであっても)いつも明らかに他の曲と違っていた。その日1番の大歓声と時には悲鳴にも似た嬌声が飛び交う事すらもあった。

しかしこの『Laughter in the Dark Tour 2018』横浜2日目はそうではなかった。取り立てて特別な反応もなくしれっと始まり、しかも終わった後も特に大喝采ではなかったのだ。恐らく、8割方がヒカルのライブが初めての聴衆で構成されているというのは、それ即ちファン層の世代交代が進んでいる事を意味していて、やはり『First Love』に対する感情も相対的なものになっているのかもしれない。

我々古参にとっては『First Love』は絶対的な存在だ。YouTubeの再生回数でも歌ネットの歌詞閲覧回数でも堂々の1位だし、テレビ地上波初出演もこの曲。正確なデータがある訳ではないが1stアルバム『First Love』があれだけ売れたのもこのタイトルトラックがあったお陰だろうと推測される。巷の懐メロ番組でも必ず日本の邦楽史上最高のスタンダード・ナンバーのひとつとして扱われている。ファンの贔屓目無しに、真の意味での国民的名曲なのだ。

それが相対化されている…俄には信じ難いが、聴衆の反応はそうなっている。一方で自分の心境としても「なんか『First Love』が“普通の曲”に聞こえる」という感覚を持っていた。今までのライブのセットリストの中でならやはりこの曲の印象は突出していたのだが、今回の『誓い』『真夏の通り雨』『花束を君に』『Forevermore』の流れの中では、この本来特別中の特別であるピアノのイントロすら特に突出していないなと思わされた。『First Love』が色褪せたのではなく、他の楽曲たちが『First Love』と同等以上の“強度”を持っている為だと解釈する他なかった。

しかし、ひとたびヒカルがこの歌を歌い始めるとやはりこの曲にはこの曲特有の特別さがあるのだと痛感させられる事になる。ホント、どこまで行くんだこの公演は…。