普段メタルだプログレだジャズだと人脈入り乱れる音楽を聴いている身としてはこれまでのヒカルの数々のコラボレーションはどうにも散発的で、点にはなっても線にはならない印象が強い。
いや、元々コラボなんてのは「1回限りのスペシャル感」を強調する事も多いのだから企画が「それっきり」になったとしても本来何の問題もないのだが、ヒカルのは本当に「その時限りのお付き合い」という感じが強い。ワンナイトラブと言いますか何と言いますか。
実際はそれも印象だけの話で、199 9年に1日限定で結成されたEMIガールズは後にスタジオバージョンをレコーディングするし、更に2人は2016年に『二時間だけのバカンス』で再び共演するしで、全くこのコラボはその場限りではなかった。2006年の『One Night Magic feat. Yamada Masashi』も10年の時を経てバンドの共同プロデュースというコラボレーションを達成している。これもまた一夜限りにはならなかった。
だが、一応私見とお断りするが、それすらも「点と点」でしかないようにみえる。線にはなっていないこの感じ。宇多田ヒカルという人は、どうにも人と人の繋がりの中でどうのこうのという気になっていないようにみえる。今も昔も。
ぶっちゃけてしまえば、ヒカルがコラボレーションを仕掛けるのは決まって「ネタ切れになった時」なのだ。『EXODUS』の時など、そろそろ曲作りがキツくなってきた際に苦し紛れに外部のプロデューサー/ミキサーを呼んで新しいサウンドにチャレンジをしたのだが、その苦し紛れに呼んだヤツがTimberlandというビッグネームだった所がもうなんか凄かったりしたんだ。豪胆な21歳でした。
ヒカルは、「流れ」の中でのコラボレーションという意識が希薄なのかもしれない。総てがワンポイントリリーフで、その場凌ぎを手伝ってくれさえすればいい。ヒカルにそんなつもりはないのかもしれないが、結果的にそうなっているようにみえる。あクマで私見に過ぎないが。
どうにも、復帰後は、それが行き過ぎてなのか何なのか「ファンの間でコラボ相手の評判がとても悪い」というケースが連続した。ちばくんとなりくんの話ですね。どうにもそれが、運が悪かったとかそういう話ではなくて、ヒカルのコラボレーションに対する態度からくる必然的帰結のようにしか思えなかったりしているのだ最近。あクマで私見だけどね。(しつこいってば)
なので、今回のSkrillexとのコラボレーションは、そのジンクスを破る一例になってくれないかという期待を、ほんのちょっと持っている。とんでもなく売れているということはないが、ストリーミングは1000万回を突破したようだし、好評だと思える感触はある。あわよくば、これに味を占めたSkrillexが更なる絡みを見せてくれたら面白いと思うのだが、うーん、やっぱ慎重にならざるを得ないかな。ちょっとここは、本当に難しいね。