無意識日記々

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複数の愛し方

『Laughter in the Dark Tour 2018』映像商品のBlu-ray、素晴らしい音質だ。『WILD LIFE』もよかったが今作は更にいい。実質ハイレゾ音源で、音源だけでリリースされないのが本当に悔しい。

スタジオ盤のハイレゾ音源に較べて有難味が大きいように感じられるのはこれがライブだからだ。ドキュメントとしての精度。細かい息遣いまでがくっきり聞き取れるところのリアリティと、そもそもが生々しく録音したままのミックス。映像の方も産毛や毛穴まで見えると大興奮だったが、音声の方も歯に纏わり付く唾液まで感じられるようで…って相当気持ち悪いこと言ってますね私。

作品としてみたとき、映像や音声が高精細な事が必ずしも好評価に繋がるとは限らない。見えなくていいアラまで目に耳に入るからだ。ブラッド・ギルスが小室哲哉に自身のハイレゾ録音を初めて聞かされた時に「俺がこんなに下手な筈がない!」と激怒した話は何度も触れてきた。それが改善されるまでは気になって仕方がないものだ。

ヒカルの生の歌唱は、ハイレゾレベルの高精細な録音で捉える価値がある。歌い方の微細なところまで意図的な“狙い”が窺えるからだ。一方で、AMラジオの雑音混じりでレンジの狭いモノラル音声でもしっかり歌唱力は伝わってくるのだから、改めて奇跡的な歌手だなぁと思う。

シンプルさはアピールにはいいが聴き込むには物足りない。細かい歌い回しはじっくり聴けば酔えるけれど耳を欹てないと届かない。そのどちらも兼ね備えたヒカルのよさを味わう為には、今回の映像商品をBlu-rayの高品質からiPodにダウンロードしたお手軽な標準品質まで、複数のフォーマットを駆使して様々な状況で聴いてみるのがいい。部屋で籠もってじっくりBlu-rayと対峙してもいいし、iPodから音だけ流して洗い物したり散歩したりしてみるのもいいだろう。DVDを使えば車に乗って爆音で、なんてことも出来るかもしれない。あ、画面は伏せて運転してね。

そういった複数の愛し方を推奨できるという点でも今回の映像商品の多角的なプロモーション体制は評価できる。今週末も様々なカタチで『Laughter in the Dark Tour 2018』に触れてみませんか。