無意識日記々

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画竜点睛を欠く蛇足

豊かな構成を持つ『誰にも言わない』だが、自分の趣味としては「画竜点睛を欠いたな」と思わざるを得ない箇所が1箇所ある。『Can you satisty me ?』のところで切り込んでくる矩形波様なシンセのエフェクトだ。エイトビットサウンドってやつだね。タイムスタンプだと2:54〜以降か。

これ、あっても別に構わないとは思うのだが以下の展開&全体の構成からしたら蛇足気味だと感じる。(龍を描くには足りず蛇を描くには過剰/全体を整えるには配慮が足らず、局所の為には余計なお世話、って感じ)

というのも、このあと『I just want your BODY』のところでベースが単音をドーンと奏でるのだが、ここで吸い込まれるようにシリアスな重量感がぐっと増す演出になってる、筈なのだ。『忘却』の時と同じ効果だと思ってくれればいい。同曲でいえば『こわい夢 目を閉じたまま…』の所ね。これもタイムスタンプは2:54だな。歌詞にも合わせてここでベースが単音を重々しく響かせる事で緊迫感がより一層増し楽曲が中盤を超え終盤を迎える、そういう演出である。

『誰にも言わない』に関しては、それと同様の流れの中で考えるとあのピコピコシンセはミスディレクションとして作用しているように思う。ヒカルの特技は『惑わすこと』だからそれもアリかもしれないが、脳内でシンセを抜いてみるとその展開の自然さ、美しさに圧倒される。リスナーにそんな手間をかけさせても特にいいことはないと思うのだが、まぁ邪魔という程でもないからまぁいいか。ただ、無い方が「重さに吸い込まれていく感じ」はよりダイレクトに伝わったと思うぞ。

とはいうものの、この曲はプロデューサー2人体制だ。片方のプロデューサーの意向だけで編曲が決まる訳でもない。だったらクレジットは1人でいいわけでな。実質共作曲なのだ。そこで『EXODUS』好きなウタダ・サウンド原理主義者(アタクシ)が「純度100%のヒカルがいい!」と言ってもそれこそ今の他者とのコラボレーションに熱心なフェイズにあるヒカルにとっては邪魔なだけだろう。そう考えると、このエントリ自体が蛇足なのかもしれないなぁ。はぁ(溜息)(笑い混じりの、ね)