無意識日記々

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プロデューサーさんっ!

メタリカの話を始めると更に長くなるからまたいつかにするかな。「風立ちぬ」ん時と同じ位の長さになりそうだし。けもフレの宣伝が出来たしよしとしよう。私はdアニメストアで観ているけど、dアニメストアってDoCoMoかどうかと関係なく誰でも使えるですよ(有料だぞ)。あと、アマゾンプライムでも観れるみたい。他の動画サイトも大抵は置いてあるだろう。ちゃんと世間的にも名作とにして認知される為にはたぶんこれからの後半のストーリーが大事なのは誰の目にも明らかな訳で、最後まで王道・正統派を貫き通して欲しいもんだわ。


さて今日はTHE BACK HORNの「あなたが待ってる」の店頭陳列日だが、今一度この作品の意義を振り返っておこう。私まだ観て・聴いてないからね今のタイミングだと。

ヒカルがプロデューサークレジットに名を連ねてもう15年になる。アルバムでいえば『DEEP RIVER』からだから、もうプロデューサーとしてもかなりのベテランだ。

前も指摘したように、音楽プロデューサーになるルートは様々だ。ミュージシャンがプロデューサーをやる場合もあるし、ミキシング・エンジニアがプロデューサー・クレジットまで貰う場合もある。日本の老舗レコード会社だと社員の人がプロデューサーになってたりする(最近でもアイマスとかこのパターンかな)。マネージメントの人が関わりすぎて、とかもあった気がするし、親や兄弟の場合もあるし、本当に様々である。映画監督や指揮者と似たようなものだ。

ヒカルの場合、現役のミュージシャンでプロデューサー、という立場できた。「宇多田ヒカルは歌が上手い!」という定評が世間一般に知られているという事実を疑う人は居まい。「宇多田ヒカルは自分で作詞作曲してて凄い!」という感想を持つ人となるとかなり減るが一定数は居るだろう。しかし「プロデュースもやってるんだって!」というのはもう食いつきが悪いどころの話ではなくそもそも全くと言っていいほど知られていない。

「プロデュースという作業がどんなものかよく知らないから」というのも理由のひとつだろうが、我々の世代は残念ながら「TKプロデュース」を合い言葉のようにして使った世代。故に何やってるか具体的には知らなくても存在としては知っている。それに、織田哲郎小室哲哉小林武史つんく…という風に名前を並べると、それぞれに「っぽいサウンド」のイメージが浮かび上がる。曲を聴かせてこれはTKプロデュースだよと説明すると納得して貰える事が多かった。

つまり、プロデュースというと、一定の傾向のサウンドが出てくるという先入観がある訳だ、90年代に音楽を楽しんでいた世代は。個性、色、ブランド。言い方は何でもいいが、何かスタイルが期待されるのがプロデューサーという存在だった。

ヒカルの場合それがない。シンガーソングライタープロデューサーとしてセルフプロデュースに携わる時には最大の個性はその歌声であり、サウンドのカラー云々は二の次だった。イントロが飛び出してきた瞬間に「あぁ、これは宇多田サウンドだね」とか全然言えない。小室哲哉なんかそんなのばっかだったのに。つまり、ヒカルをプロデューサーとしてみる"需要"が、そもそもなかったのだ。

確かに、この状況下でヒカルの(共同)プロデュース作品がリリースされるといっても興味を喚起するのは難しい。歌っているといってもバックコーラスだし。これが例えば椎名林檎作品ならまた違っていただろう。『Fantome』で招待されていた林檎嬢に今度は招かれてデュエット、更には共同プロデュースまで、となっていたら、THE BACK HORNには悪いが、今とは較べものにならない位に話題になっていただろう。

多分、世間的には、「あなたが待ってる」は、ヒカルが友達と何かやったらしい、位の認識しかされていないのだ。恐らく、ヒカルが誰かとテトリスで対戦する映像を流す方が需要は大きい。やれやれだ。


しかし、ヒカルの音楽が好きな人にとってこれは千載一遇のチャンスである。サウンドの中に、ヒカル名義の曲と似た要素があるかないかを調べ、そこから、宇多田ヒカルのプロデューサーとしての視点や技術がどこにあるのか見極める事が出来る。ただ作詞作曲をして歌っただけでなく、全体の方向性や雰囲気やノリといったものをどうやって作ったか、それを見極める事が出来る。

そして、本当の意義が出てくるのはヒカルがまた別のプロデュース作品をリリースした時だ。その時になって初めて、自分以外の人をプロデュースした時のヒカルの癖や傾向といったものが朧気ながら浮かび上がってくる。つまり、この「あなたが待ってる」は最初に打たれた点である。今後どんな線が引かれるかはわからないが、宇多田ヒカルという個性が一体どんなものなのかを理解したい人にとって先ずは押さえておきたい曲なのは間違いない。取り敢えずは聴いてみようぜ。