『One Last Kiss』のEPがCDとしてリリースされるにあたって勝手に気になってる事がひとつある。過去音源がリマスタリングされているのだ。
そこまで劇的に変わることはないだろう、とは思ってはいるものの、やはり『桜流し』がどこまでブラッシュアップされているかは、相変わらず気に掛る。勿論、DVDシングルでも聴けたし、CDアルバム『Fantome』でも聴けたし、エヴァQのBlu-rayでも聴けた。段々によくはなっていっていたが、ここで更にリマスタリングしてしまうというのだから、一体何を上積みしてくれるのやら。
なぜここに来てリマスタリングされるのか。最も単純な理由は、ミニアルバムとしてサウンドを均す為だ。別々に録音されて音量もバランスもバラバラな楽曲たちをひとつの作品として通して聴かせる為にここでリマスタリングしたのだ。いちばん合点の行く理由である。
二番目に単純な理由は、映画で使われているからだ。序破Qだけでなく、「シン・エヴァンゲリオン劇場版:||」でも、ね。『Beautiful World』や『桜流し』がシンエヴァの劇中で使われて、エンディングに『One Last Kiss』が置かれているという、夢想。つまり、リマスタリングは、EP発売の為というよりは、既に映画の為に施されていたのだという、説。本当だったなら凄い。ただ、ならば「残酷な天使のテーゼ」や「魂のルフラン」はどうなんだという事になって、もうここから先は私の手には負えません。
嗚呼、でも、『Fly Me To The Moon (In Other Words) -2007 Mix-』は、使われてるかもしれないね。旧世紀テレビシリーズのエンディングテーマ曲だが、ヒカルの歌ったこのヴァージョンは今まで映画本編と関係がなかった。予告編か何かで使われたっけかな。今度は、例えば『One Last Kiss』が流れた後にエピローグが挟まれて更にそのあとにこの『Fly Me To The Moon...』が流れるとかね。分厚過ぎやしませんか。
木を隠すなら森の中とは言いますが、こうやって全曲収録されてしまうと、どのトラックが映画本編と関係があるかわからないわね。目眩しの為だけにこうした訳ではないのだろうけれど、分け隔てなく取り扱う事でこちらの的を絞らせない。うまくできているなぁ。願わくばあわよくば、Acoustica Mixも含めて、いやさInstrumental Versionまで含めて、劇中でヒカルの曲が次から次へと踊り狂っていてくれていたら幸甚の至りなのですが、それは流石にちょっと欲張り過ぎですかね。もう殆どミュージカルのノリでバンバン名曲を流してくれたら大団円に相応しいんじゃないでしょうか。
エヴァが終わっていく一方で、我々はこのEPによって、ヒカルの次なるアルバムに向けて加速していく訳で、いやぁ未来があるって、本当にいいものですね。