無意識日記々

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幕開けはソファの隣で

昨年の新年はテレビでマツコの知らない世界に出演していたが、今年の新年一発目はラジオで小袋成彬番組のゲスト。ヒカル本人も呟いていた通り限りなくゆるい番組であった。昭和の言葉でいえばカウチポテトな30分だった。ソファで寛ぎながら音楽聴いてだべってるだけの。よくそれでギャラが出るぞな。

とはいえ新年からヒカルの笑い声と鼻歌が聴けて上々だったのではないか。なりくん(こっちの方がタイプ楽だな)との仲の良さは嫉妬の対象になっていたみたいだけど、今や彼はコ・プロデューサーなのだ。半世紀近く一緒にやってる三宅さんや生まれる前からお世話になっている照實さんと殆ど同等の立場というのは、仕事を家業と呼ぶヒカルにとって家族にも準ずる位置にある。今更妬んでも仕方ない──とはいえ、知ってるだけなのと実際に見せつけられるのとでは別だよねぇ。何故もっと節度をもって接しないのか、或いは仲がいいならその事を皆に……まぁそこらへんの「察せさせ方」のラインは含みが出るものか。こんなもんかもしれないな。

一方で、昨年のインスタライブに引き続きJ.Husのアルバムを特集した点は特筆に値する。会話の印象からするとヒカルがなりくんに紹介した形のようだが、まぁ全英1位アルバムだしなりくんも何曲かは事前に知っていたのかもしれない。

全英1位というわりに、この「ビッグ・コンスピラシー」というアルバム、日本盤が見当たらない。これはいい情報かもしれない。少しではあるが、次のヒカルのアルバムにゲストとして呼ぶ時のハードルが下がる。レコード会社のしがらみがないのでね。彼としても、未開拓な日本市場で名前を売るのに宇多田ヒカルのネームバリューは喉から手が出るほど欲しいだろう。いや極東まで手を伸ばしたがってるかどうかなんて知らんけどな。

日本では、つまり、彼のようなUKヒップホップ/ラップのマーケットは相対的に小さいということか。一方でヒカルの音楽とは相性がいい。ヒカルが持ち出す音楽には「自分には出来ないサウンド」と「自分に近いサウンド」の両方があるが、J.Husはどちらかといえば後者になるだろう。ヒカルも『Too Proud』などでラップのアプローチも取り入れているし、最近のサウンド傾向にフィットするところは見えてくる。

とはいえ、例えば最新の『One Last Kiss』にその影響が出ているとかはまだありそうにない。なりくんも番組中に少し語っていたように、今は知り合いであってもコラボレーションが難しい状況だ。イギリスの状況は日増しに悪くなっているようだし、北半球だから恐らく春先までは悪化の一途を辿るだろう。今年中にフルアルバムが出る期待は強くは持ちづらい。

それでも、我々には今月末に8トラック入りのミニアルバムが届く。これで幾らかは間を持たせて貰えるのは有り難い。それとともに、このJ Husのサウンドを聴きながら、ヒカルの次作の作風を想像するのもいいだろう。まだまだ今年は長期戦なので、少ない情報でもしゃぶり尽くしながら歩んでいく事と致しましょう。