無意識日記々

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Hommage ≒ Respect

どうやら今のところこの「冬の緊急事態宣言」は関東一都三県に限定されるようで、その上映画館は対象に含まれないのだとか。座席数に制限はあるかもしれないが、「シン・エヴァンゲリオン劇場版:||」を鑑賞することまでは出来るかもしれない。

とはいえ、すぐに観ないと瞬く間に状況が悪化してそうも言ってられなくなるかもね。例年であれば例えばインフルエンザは年末から姿を現し始めて一月末から二月にかけて猛威を振るうようであるから、それと似た状況になると考えれば、二月に入ったら映画も観れなくなっているかもしれない。観れるうちに観るというのはどんな時も鉄則ですわね。

なんてことを言うのも、『One Last Kiss』を聴いてヒカルの「エヴァへの捧げぶり」に敬服しているからだ。この曲のイントロ(この予告動画の最初)はまるきり『Beautiful World』へのオマージュで、例えば過去に『DEEP RIVER』アルバムで『Deep River』『Letters』『プレイ・ボール』のイントロを揃えたり、『嘘みたいな I Love You』で『Simple And Clean』の、『Kiss & Cry』で『Hotel Lobby』のフレーズをそれぞれ援用したりといった事などはあったが、こうも時を隔てた楽曲同士をあからさまに繋げた事もなかった気がする。明らかに続編である。

ひとたび曲を作り始めるとほぼ必ず完成に持っていくヒカルとしては、出来上がった楽曲はそれ単体が完成品であり、“最も満足した形態”にまで辿り着いたという自負があるから、そうそう過去の焼き直しなどには手を出さないし、同じタイプの楽曲を量産することもしない。出来上がった曲はそれで終わりであったのだ。そこらへんの矜恃を見遣りながらもこうやってエヴァのテーマソングとしての機能を前面に押し出してきたからには、映画館で聴く『One Last Kiss』がどれだけ映画自体と親和性が高いか、いやさ、どれだけ映画と一体になっているか、これを実際に観て確認しないとこの曲の精髄のようなものは伝わってこない気がする。

勿論その一方で、全く映画に興味のない人にとってもそれ単体で楽しめる歌になっている事も間違いなく、それをこうやってまともに曲全体を聴く前に外野の人間が断言できてしまうという信頼度の高さと実績の途方もなさには、今まで通り感嘆せざるを得ぬわな。嗚呼、ちゃんと映画館で観れるかな。ある意味、社会情勢を睨みながらジリジリとした日々を過ごすことになりそうだ。映画鑑賞なんて、いつもポップコーンのキャラメルな匂いに囲まれながらのんびり過ごす時間だったのに、こんなことになっちゃうなんてねぇ。

いずれにせよ、『One Last Kiss』に『Beautiful World』へのオマージュが含まれているのは、「シン・エヴァンゲリオン劇場版:||」に「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序」へのオマージュが含まれている事を示唆しているし、何だったら劇中でまた『Beautiful World』が鳴り響く展開だってあるのかもしれない。誰だったか、まだ曲名の明かされていない『One Last Kiss』EPのトラック2&8は、その文字数からして『Beautiful World』のリミックスだろうと推測している人も居たが、確かに、そういう事もあるかもしれないね。果たして真相はどこらへんに着地するのか。映画封切まであと18日ですのよ奥さま。