漸く待望のTVアニメシリーズ「不滅のあなたへ(To Your Eternity)」の第1話が放送になった。なんとまぁ、原作へのリスペクトなのか作品への自信なのか、原作第1話をそのままアニメ化してきた! 少年がただ独り言を言い続けるだけの初回を。アニメ化って第1話のインパクトが大事だからアバンだけでも派手な導入部をもってきがちなんだけど、そういうことは一切せず。いや勿論自分のような読者は「球」から始まるイントロダクションで一気に引き込まれたからそういう層に対してはそれで正解なんだけど、全国ネットの地上波放送でそれをやってくるとは驚いた。
その自信を裏付けるかのようにアニメのクォリティが高い! 作画作画カロリーが高い! 来週以降息切れしやしないか心配だがやはりこの作品、「進撃の巨人」や「鬼滅の刃」などと同じく「アニメが素晴らしくて原作を読んでみたら絵がそんなでもなくてガッカリ」な路線に入ったようだ。いや、下手でもなんでもないんだけど、このアニメ化はそれくらいの落差を生んでいる。
少年役の声優さんの演技も非常に練られていて。一言々々が考え抜かれていて感情の流れを表現する事に長けている。特にこの第1話はほぼ一人芝居ということで会話のリズムなど皆無な中でぐっと視聴者を惹き付け続けた。以後の展開は更に(声優にとって)難局続きだがこれなら期待できるかもしれない。
そしてやはりサウンドトラックの威力よ! フルオーケストラのみならずバンドサウンドまで取り入れて「今ときのアニメサントラに制限なんかあると思った?」と言いたげな全力投球ぶり。そんなに気合い入れていいのかという位気合い入っていた。あんまりにも壮大に盛り立てるのでついつい「劇場版クォリティ」という言い回しが頭にチラつく。いやはや、時折カロリー過多の作画や迫真の主役の演技を食ってしまうほど前面に押し出された劇伴の数々。ただ主人公が家から出て一本道を歩いていってそのまま帰ってくるだけの展開を劇的に飾り立ててたねぇ。凄いよアンタ。
という約23分間を経て津田健次郎のおなじみの低音ナレーションからの『PINK BLOOD』であった。ほんの一瞬、「この劇伴の後に奏でられてサウンドがしょぼかったらどうしよう」という考えが頭を掠めたが、それも出足の一音で雲散霧消する。高品質な作画・演技・劇伴を駆使した演出の数々など単なる前座だったと言いたくなるくらい、「いやあんたこそ王座やんか」と思わず呟いてしまったくらいに神々しさに満ちていた。なのに歌詞はわかりやすく親しみやすく優しい。もう慣れっこかもしれないが、作品の先の先まで見通した作詞の神憑りぶりにも嘆息させられた。サウンドは『誰にも言わない』で学んだ事が活かされていた。そして、タイトル連呼するタイプの楽曲だったんですね! そうきたかという感じ。未だに『PINK BLOOD』が何なのかはよくわからないが、エンディングの入り方からすると桜吹雪というか血飛沫というか、『散り去る時の血の美しさ』みたいなことなのだろうか。公開になった部分の歌詞だけではまだまだわからなかったかな。
あ、前も触れたと思うけど、今回は第1話だったからエンディングで流れただけで、次回からはオープニングで流れると思いますよ『PINK BLOOD』は。本来のエンディング・テーマは次回が初お披露目になるのかな。それはさておき。
そして、何より驚いたのはヒカルのツイートがオンエアに間に合ったこと! そして自分の新アー写を自らツイートしたこと! Instagramの方は更新されていないようだが、それにしても珍しい。エヴァなんて二十日経過してから漸くMVに触れるとかそんなんだったのに。これはかなりアニメをプッシュしたい≒原作漫画を気に入ってしまった、ということでいいだろう。こちらとしては歌を予め聴いていてこれはもう全巻読んでるなと確信してはいたが、こうやって本人がちゃんと言ってくれるとやはり雲泥の差だわ。
何もかもが高クオリティの確認作業に過ぎなかったけれど、それでもこうやって目の当たり耳の触りにするとグッとくるものがある。第一話からよくよく知っている話なのに柄にも無く感動してしまった。次はもうマーチが出てくるのよね? あぁもうダメですごめんなさい。来週からリアルタイムで観ないかもしれないのでそこのところは宜しくお願い申し上げ奉り候。