無意識日記々

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『コドモのままじゃいられないわ』

不滅のあなたへ」は第2話もdアニメストアデイリーランキング1位。まずまず順調だろうか。ウィークリーを伸ばせるとしたら5月以降かなぁ。今後NHKで「聲の形」の放送や「不滅のあなたへ」第1話〜第3話の再放送などがあるそうなのでここらへんで更に視聴者を獲得出来たらいいね。『PINK BLOOD』が耳に留まる機会も増えるだろう。ただ、再放送では第1話と第2話が続けて放送されるようなので、てこたァあれだ、第1話のエンディングで『PINK BLOOD』が流れた直後に第2話のオープニングで『PINK BLOOD』が流れるのだ。ちょっとくどいぞ!(笑) ただここで初めて聴く人はすぐさまもう一度聴きたくなってたりするだろうからちょうどいいのかもしれないね。

こうやって「不滅のあなたへ」とセットで『PINK BLOOD』について語るリズムが出来上がってしまっているが、当然の事ながらというかなんというか、宇多田ヒカルの最新曲としての位置付けもちゃんとある訳で。

その観点で自分の耳を引いたのが

『自分の価値もわからないような

 コドモのままじゃいられないわ』

の一節でね。ここが、『One Last Kiss』の

『I love you more than you'll ever know』

と繋がっている気がするのよね。「あなたが思ってるより私はあなたを愛している。」

というのも、この部分を「シンジは自分が思ってるよりも周りから愛されてる」という意味に解釈した人が居てだな。なるほどなと思ったのだが、とすると『PINK BLOOD』の方も、これ「みんなフシのことが好きなんだよ」っていう台詞と対応しているのかもしれないなと。フシは周りから愛されている自分の価値に気づけないまま振る舞う事が多くてね。まぁアニメでどこまで描かれるかはわかんないけど、そこがエヴァのシンジ君とフシの共通点なのかなぁと。

ヒカルが『自分の価値もわからない』人のことを『コドモ』と喝破してるのが、こう、響くのよね。自分なんかはもう平均余命の半分を過ぎた紛れもないおっさんなのだけど、どこかいつまでもこどもっぽいところが抜け切らないのは自分の価値みたいなことがよくわかってないからなのかもしれないなぁ、とこの歌詞に触れて悩んでしまったのよ。確かに、そういうことがあるのかもねぇ、、、。オトナってのは、自分にどんな価値があるかよくよくわかってて振る舞える人の事、か…。

2010年の『WILD LIFE』のアンコールでのMCで「近頃自分を大切にできるようになった」と言っていたのも、自分自身が価値ある存在だとわかってきたからだったと思うし、それはつまりコドモのままではいられなかったという『Goodbye Happiness』でも歌われたテーマに繋がっていたのかなと。それが今、この6年間ヒカルが自分の産んだこどもと暮らしているうちに、嗚呼この子は自分にこれだけのことを与えてくれているのにまだまだそれがわかっていないんだなぁ、というのと、彼が母を甚く愛するのをみて自分自身の(彼にとっての)価値を痛感し、ちゃんとオトナとして振舞おうと思えるようになってきたというのの両方が、この、

『自分の価値もわからないような

 コドモのままじゃいられないわ』

の一節に込められているような気がしてな。シンジ君やフシといった“少年ぽい”キャラクターを通じて、親子での生活で与えられた感銘をも封じこめたここの歌詞は、今の宇多田ヒカルだからこそ書けた大切なセンテンスなんだと思う。「いられないわ」という女性的な言い回しを選んだのも、ヒカルが自分自身の言葉として響くようにという意思の表れなのかなと。ノンクレジットOPの90秒を聴く度に毎度ここの部分を噛み締め味わっているのです私は。