無意識日記々

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PINK BLOOD EXPERIMENT

すぐさま『PINK BLOOD』について語り出したいという思いもある一方、もう少し待とうかなという気分もあって。というのも、Twitterを検索してると本当に色々な感想が読めてなかなかに興味深いからだ。

昔っからこんなだっけ? みんなこんなに熱く語ってたっけ? デビュー直後の2,3年は爆発的な知名度を背景に多数の人々が言及してくれていたが、こんなにあれやこれやと(技術的な側面も含め)濃いめの語りを沢山読んだ覚えはない。その頃のBBS時代ってのは極小数の語り手がやたら熱苦しく長く語っていて、殆どの人は傍観者だった気がする。

Twitterもヒカルが始めた頃くらいはそんな感じだったかと思うが、ここに来てなんか様子が変わってきたというか。局所的に濃密なのではなく、浅く広く濃くなっているような。

なんというか、若いリスナーが、我々の世代までで言うヲタク気質な語りをするのにそんなに抵抗が無くなっているような、そんな雰囲気がある。ひとりで部屋でヘッドフォンをして感じ取った事を訥々と語る事がなんだか少しだけ普通になってきたような。気の所為か? わからんけど。まぁそれは今後観察していくとして。

『PINK BLOOD』を初めて聴いた時に私が「ヒカルは相変わらず優しい子だなぁ」と感嘆したのは、曲作りに関して、あらゆる周囲に目配りがきいていたからだった。アニメタイアップ先にも、古くからのファンに対しても、最近ファンになってくれた人達にも、そして恐らくやや離れている人達に対しても。ここまで気を配れた上で『他人の表情も場の空気も上等な小説ももう充分読んだわ』だから説得力がある。ここからの『自分のためにならないような努力ならやめた方がいいわ』だから、ただ努力を避けてる怠慢な人な訳ではないんだなと納得できる。

その気の配り方の中に、こういう、ヲタク語りが市民権を得つつある空気感を読み取った気配があるような? というのも、インタビューでも語っていた「程よい違和感」について、ギアをひとつ上げてきた感じがするからだ。

例えば『もう言ってるから』とか『あなたの部屋に』とか、「んんん?どういう意味だけこれ?」と怪訝にさせられるフレーズが仕込まれている。ここらへん、本当に意味が通じないだけなのと、ちゃんと意味が隠されているのの間を狙っているような。ヒカルは、ここらのあからさまな違和感について皆がどう語ってくるか、待っているような気がしてならない。そして、もしかして、ヒカル自身は答えを持ち合わせていないかもしれない。つまり、新しい解釈を誘発しようという意図のみがここにある、というような。いやもちろん、ちゃんと答えを用意している確率の方が高いけれども。

そういう風な深読みをしてしまっている私なので、ついつい暫く傍観勢になっちゃおうかななんてことを考えてしまっている。そんなことを言ってても語りたくなる時は語り始めてしまうんだろうけれども。一応「不滅のあなたへ」はコミックスとはいえ既刊分は一通り目を通したし、由来があるなら気づけるかもしれない。今んとこ新しい気づきはないんだけどなっ。

『PINK BLOOD』は、ファンやリスナーとの距離感を測っているという点に於いて真の意味で実験的な楽曲である。この曲の制作からリリース、そして反応を受け取るまでが「この曲自体」なのである。その割には歌詞サイトが企画されていないのが不思議だが、今までの曲もあたしですら使いづらいのを理由にあんまり読んでなかったのだから、全体的にアクセス数が伸びてなかったのかもしれないね。一応毎日リンクはツイートしてんだけどねぇ…。もっと軽いサイトにしたらよかったのにとあたしなんかは思うんだけどどうなんだろ。重いといえばビルボードのインタビュー記事も余計な効果を含んだページで読みづらかった。ヤフトピの転載分の方がアクセスしやすいんだがこっちは数日で消えちゃうんだろうか? 寧ろこっちが残って欲しいわ。

話が逸れた。兎に角、『PINK BLOOD』へのリスナーの反応が面白い。これだけファン層が成熟してきたとも、時代がやっとヒカルに追いついてきたともいえる。そして、そこから更にヒカルは物事を前に進めようとしている。まさに『王座になんて座ってらんねぇ』を実践し続けてる人なんですねぇ。いやはや。