無意識日記々

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喪失の喪失

不滅のあなたへ」は第2クール突入ということでジャナンダ島編へ。トナリ初登場。初々しい!

その前のフシとピオランの会話が印象的で。漫画作品のコンセプトを登場人物に語らせるヤツ。メタ演出とまではいかないけどね。忘れられた時に本当に人は死ぬという考え方は、「ワンピース」のDr.ヒルルクの名言

「人はいつ死ぬと思う?

 人に忘れられた時さ!」

がいちばん(?)有名かと思うが、つまりは忘却こそが真の喪失ということだろうか。

『One Last Kiss』では『忘れたくないこと』『忘れられない人』というリフレインが何度も繰り返される。その人を別離や何かで現実世界では“喪失”しているのだが、ここでその人の事を『私』が忘れてしまうと本当の喪失になるというか。記憶に留めている間は、その喪失を抱えている人が居る限りは、本当の意味では喪われない。確かに、ここで喪失を無理矢理切り離したら、もしかしたら痛みや苦しみは消え去ってくれるかもしれないが、もっと大きな、もっと深刻な喪失がやってくる。

痛みや苦しみは結局のところ「警告」なのだろう。それ自体は真の何かではなく、本当の死を避ける為に避けて通れない。死んだら死んだ人には何も残らない。痛みや苦しみでさえも。その時生きている人が引き受けるものとなるのだ。

ジャナンダ島編はこのあとフシとピオランが紆余曲折を経てまた二人きりになるのだが、その時の描写が「やっぱり“聲の形”の作者だなぁ」と思わせてくれるリアルなものだった。「忘却」と「喪失」をこうも正面切って描いてくれるとは。私は感嘆してしまったのでした。ってちょっと先の話になっちゃったな。そのエピソードが放送される頃にはこの日記がどうか忘れられていますように。………ん?