っとと、「あ、ノってるな」の回で、大事な事を書くのを忘れていた。というか書きたいことの半分しか書いてなかったのを思い出した。
同回では、『Find Love』&『キレイな人』の1:30~1:45のパート、それぞれ
『Find Love』では
『For now committed to my therapy
I train with Vicki 3 to 5 times a week
Getting stronger isn't easy baby』、
『キレイな人』では
『もういい女のフリする必要ない
自分の幸せ 自分以外の誰にも委ねない』
と歌っているパートで、それぞれにノリが極まる部分が異なるという話をした。
一方でこのパートにはもうひとつ、「楽曲全体の構成の中で最も盛り上がる部分」が含まれているのど。今回はこの話。
これに関しては英語でも日本語でも、即ち『Find Love』でも『キレイな人』でも同じ箇所となる。それは最後の
『isn't easy baby』
と
『委ねない』
の符割である。それぞれ、この直後にある
『Do I dare be vulnerable』
と
『12時の鐘に』
と繋げて歌っている所がポイントだ。より具体的に言えば、それぞれ『isn't easy baby』を『isn't easy ba/by』、『委ねない』を『委ねな/い』と切って
『isn't easy ba
by do I be vulnerable』
『委ねな
いじゅうにじの鐘に』
という区切りで歌っている。ここが非常に効果的だ。というのも、ここが2番の歌詞だからである。
1番でも同じ箇所で同じ歌詞が歌われている。『Do I dare...』と『12時の…』の所だ。なので、我々はここであのパーカッシブで印象的なベースラインが切り込んでくる事を予め知っている、或いは予感しながらここまで2番の歌を聴いている。
その意識下の流れを、ここの歌の繋ぎ方によって先んじるのがここの狙いである。もしここを歌詞を繋がずに歌ったら、「あぁ1番と同じようにベースラインが響いてきたな」という感じに受け止めるだろう。盛り下がる訳ではないがかといって特別盛り上がる訳ではない。
一方でこうやってうしろにハミ出すように歌詞が繋がると、我々は一瞬その歌に気をとられる。1番には歌がなかった部分に歌が追加されているのだから。その為、ベースラインへの予感が一瞬だけ遅らされて、ベースラインが切り込んできた瞬間に「あ、そういえば! ここでさっきもこのベースが流れてきたな!」と改めて"驚ける"のだ。繰り返しになるが、ハミ出た歌詞にリスナーが一瞬気をとられるのがポイントだ。
この細かい技巧によってリスナーの昂揚感は最高潮に達すると言っていいだろう。「あ、ノってるな」
と直前に感じて俄然ノリがよくなっているリスナーのハートが更にもう一段ギアを上げてきてこの1:45以降のパートで気分はもう「ノリノリ」になるのだった。本当に巧い。ヒカル天才。
と、こ、ろ、が!
ところが、ですよ。『キレイな人』&『Find Love』はここから畳み掛けてこない。それどころか、2:16から後(エレピが優しく切なくポロンと弾かれる場面から)はもうずっとリズムがスロウで控えめになっていく。ここらへんの構成は、めちゃめちゃノリノリのサビから更に一つ二つ三つと畳み掛けまくってくるタイトル・トラック『BADモード』の大変な盛り上げ方とは対照的だ。そして、これがこの曲『Find Love』&『キレイな人』の本質なのである。前にも一度触れたが、この曲(たち)は基本的にバラードソングなのだ。次回はそこらへんの話…に行くか、前回の続きを改めて書くか悩み中です…。