で選曲の話。
事前予想としては、今回はフルバンド連れてこれないだろうからバックの演奏は録音になるだろうと。そうでないなら、同じフェスに出演してるFloating Points連れてきて彼との共作曲『BADモード』『気分じゃないの(Not In The Mood)』『Somewhere Near Marseilles ーマルセイユ辺りー』の何れかをやるだろうと。
で、録音の場合は、キンハ曲と代表曲、プラスもし時間があるなら『Too Proud』の新しい客演をするだろうと。『Laughter in the Dark Tour 2018』をスタートしたときアジアのラッパー達を呼んで同曲のリミックスをリリースしたんだけど、今度はステージ上で次のアーティストにバトンパスするのにこの曲を歌ったらスムーズになるんじゃないかとな。
蓋を開けてみたらこんな感じだった訳で。
1.Simple And Clean
2.First Love
3.Face My Fears
4.Automatic
キンハ曲2曲と代表曲2曲。『Face My Fears』はスクリレックスの知名度もあってビルボードにもチャートインしたし妥当だろうね。あとはSanctuaryかSimple And Cleanかの2択(Don't Think TwiceはFMFと同じKH3の曲だからね)。まぁここまではいい。
代表曲を歌うとなった時に、日本語曲を選んでくれた事に感動する声がチラホラ。アメリカのフェスだから当然英語曲だろうなと半ば諦め気味だったのかもしれない。
でもこの選曲はかなり必然でねぇ。『First Love』アルバムって、ご存知のように日本史上最高売上作品で、EMIからの国内総出荷枚数は…765万枚くらいかな今は? 15周年記念盤とアナログ盤の発売でもう少し増えてるかもしれない。一方で"全世界"総出荷枚数は約1000万枚。まだちょっと大台には届いてないんだっけか。兎に角、それくらい。
つまり、20年以上前に『First Love』アルバムは日本以外の国で200万枚以上売ったという訳。当時はまだアジア諸国は今みたいに世界市場に音楽を供給する力はなくて、アジアでは日本がトレンドセッターだった。安室ちゃんとか親日な国で凄い影響力だった。その流れの中での宇多田ヒカルのビッグヒットだったので、アジアの国の多くでは『First Love』は「憧れの国日本の中でもNo.1」な作品として知れ渡った…というのが、オールドファンの間での基本的な認識なわけですよ。あたしも別に当時現地に居たとかじゃないから記事読んでただけなんだけど。
そこからの20年以上の歴史があるから、その後に海外に挑戦しようというアジア系のアーティストにとって『First Love』はひとつのアイコンになっていたろうことは容易に想像できる。なので、コーチェラで88risingを観に来てるようなオーディエンスにとっては、アジア系であれ欧米系であれ、『Fisrt Love』は伝説の名曲なのよね。そりゃ歌うでしょうよと。
更にそれは、アジア系でなくっても、『In The Flesh 2010』の映像をみればわかるとおり、アメリカやイギリスのファンにとっても、UTADAの曲を押し退けて『First Love』が一番人気(次が『Come Back To Me』だったな)なんですよ。アジアのみならず、欧米の国のJpopファンにとっても伝説の名曲だった。
こうなってくると、『First Love』って、そのときのオーディエンスの客層とか歌うタイミングとか土地とか季節とかなんやかんや全部考えた上でもやっぱり宇多田ヒカルにとって、そしてUtada Hikaruにとって、オールタイム・オールウェイズで歌うべき曲なのよね。なので、あたしも事前予想で『First Love』はキッチリ書いていたんだけど、あたしの観測範囲内じゃこれ歌うって予想してた人、案外居なかったような?? それだけ、コーチェラだったら英語曲と思われてたのかな。それであっても『First Love』なのだから凄い神通力だよね。
あたしもあたしで、メドレーを予想してなかったから『Automatic』の名前を出し損ねたのよなぁ。今回一番受けたのこの曲だろうにね。という話からまた次回、かな?