無意識日記々

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マルセイユMV、あったり、なかったり。

ちょっとここらへんで『Somewhere Near Marseilles ーマルセイユ辺りー』周辺の状況を整理しておきたい。

ヒカルは9/23のツイートでこんな風に呟いている。

『ちなみに私が無理言ってこのめちゃ長い歌プッシュしてるんじゃなくてSpotifyさん側からこの歌でパフォーマンスビデオ撮ってって話が来たのよ』

https://twitter.com/utadahikaru/status/1573035444895465475

これはなかなかに興味深い新事実であった。つまり、ミュージック・ビデオを作るにあたって、レコード会社主導ではなくプラットフォーム(今回はSpotify)主導で話が進んだのか。23年やってきて初めてのケースじゃない? 近いのは『MTV UNPLUGGED』か。あれは放送局(この時はMTV)主導の企画だった。が、ミュージック・ビデオとなるとね。

つまり、最近Netflixのように配信会社が予算を出してアニメやドラマを制作して独占配信しているのと同じように、ミュージック・ビデオもプラットフォームが予算を出して独占配信するようになったと、こういう訳だったのね。そりゃ当然Spotify独占配信になるわな。今後もずっとそうなるのか。だとしたら、YouTubeで横長版をという希望は叶いそうにありませんな…。

っとと。今回のこの『- Live at Sea Paradise -』バージョンに関してはそれでいいとして。『Somewhere Near Marseilles ーマルセイユ辺りー』には、“ミュージック・ビデオ”という括りには入らないかもしれないが、同曲をフィーチャーした映像作品がもうひとつあったよね。阿部千登勢とカルティエCARTIER)によるプロジェクト「TRINITY FOR CHITOSE ABE of sacai」のキャンペーン・ムービーだ。

こちらは、どうやら先に宇多田ヒカルカルティエのコラボレーションが決まって、その選曲をヒカル側に委ねていたようだ。インタビューではこんな風に語っていた。

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「今回のムービーで『Somewhere Near Marseilles ーマルセイユ辺りー』を選んだ理由をお聞かせ下さい。」

『「一つ」でもあり「三つ」でもあり、様々な表情を見せる古のなぞなぞのような魅力を持つ「トリニティ」に、新たに注入された「緊張」と「調和」が均衡する阿部千登勢さんのモダンな美学。そこに、有機物のように変化し続ける電子音とともに、近くて遠い場所に思いを馳せながら絶えず膨張する宇宙と一体化していくように展開するこの長編のクールさと切実さを添えたいと思い選びました。』

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回答が長くてわかりにくいかもしれないが、でもハッキリと「キャンペーン・ムービーに起用する楽曲として『Somewhere Near Marseilles ーマルセイユ辺りー』を選んだ理由」についてヒカルが語っている。

この2つのケースとも非常に特異だ。片やプラットフォームからの提案で選曲も決まっていたケース、片やコラボレーション相手からの提案で選曲が決まっていなかったケース。この2つの異なるケースに『Somewhere Near Marseilles ーマルセイユ辺りー』という同じ楽曲が起用された。物事の順序はわからないが、これは一応“ダブル・タイアップ”の一種になるのかもしれないね。SpotifyCartierとの。

一つの楽曲に複数の映像作品が作られるのはこれが初めてではない。例えば『花束を君に』は、切り絵メインのタイアップドラマ向けのMVと、ヒカルをフィーチャーしたアーティストサイドのMVの2種類があった。なのでこういったケースが有り得てもおかしくはなかった。(なお無意識日記ではそのアーティストサイドの『花束を君に』MVについて殆ど語っていないが、あれ私の中で18禁指定作品になっているので自重しているのです、勝手にw ちょっとあれ語るのはあれやこれやで以下自粛)

だが、こうなってしまった場合、『Somewhere Near Marseilles ーマルセイユ辺りー』の正式なミュージック・ビデオってどれになるのだろう?という疑問は残る。単純に、utadahikaru.jpのアルバム『BADモード』のページで『Somewhere Near Marseilles ーマルセイユ辺りー』のトラックにどの動画のリンクを載せるかということだ。

Cartierとの方は2分しかないし半分商品の宣伝だし、Spotifyの方は独占限定配信でリンクしづらいし…と悩ましくなったところで思い出したのだが、そういやヒカルさん、マルセイユ行ってませんでしたっけ?

『やっとマルセイユ辺りにまじで来れた

I finally made it to somewhere near Marseille.』

https://twitter.com/utadahikaru/status/1546874838391746560

ねぇ? これもしかしたら、第3の、レコード会社主導の、今度こそ王道のYouTubeでも観れる『Somewhere Near Marseilles ーマルセイユ辺りー』のミュージック・ビデオを目下制作中だったりしないのかしら? 流石にくどかなぁ? この投稿が7/13の事なので、現在編集中という可能性もあるわな。万が一そんなことになったら『Somewhere Near Marseilles ーマルセイユ辺りー』は宇多田ヒカル史上過去最高に映像でフィーチャーされた作品になりますね。はてさて、真実や如何に!?