無意識日記々

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「異質な者同士を結びつけよ」

(唐突に)『COLORS』のあのキーボードリフにあの歌メロ載せたのホント革命的だったなぁ…あれから間もなく20年なのか。

『Goodbye Happiness』のサビ後半にシナジー・コーラス重ねてきたのは更に革命的だった。いやま、すぐ隣に「愛の賛歌」と「スペイン」を重ねるという前代未聞の試みを敢行した『Hymne à l'amour 〜愛のアンセム〜』があったからあんまり目立たなかったけれども。

ヒカルさんはそういうことを然り気無くやってくる。それで凝り過ぎたのが『EXODUS』だったりしたのだが、『BADモード』でもタイトルトラックの「いきなりアンビエント突入」とか『君に夢中』での「夢見がちな曲調にゴリゴリのトリプル低音」とか奇っ怪なサウンドが其処彼処にみられる。『Find Love』なんてノリノリで始まるのに最終的にはバラードになるんですよ。色々とおかしい。

…なんでこんな話をしてるのかというと、多分ここからヒカルさん、パフォーマーとしてのターンに突入していくんで、クリエイターとしての側面を今一度踏まえておきたいぞという私のバランス感覚なのです。(カルティエ座のシークレット・ゲスト、誰なんだろなぁ?)

この、「ひとつひとつは耳馴染みがいいものをかつて無かったやり方で組み合わせる」というのはクリエイティブの基本でして、私の尊敬する小説家星新一も新しいアイデアを生むには一言、「異質なもの同士を結びつけよ」と仰っていた。ヒカルさんはその王道を実践しているに過ぎない。

それが、今までは音楽の中での話だったけど、これがミュージシャンとミュージシャンの間でなら何が起こるか…というのが次のフェイズなような気がしててね。宇多田ヒカルと仕事できると聞けば二つ返事でOKするミュージシャンはごまんと居るだろうが(断るとしても「畏れ多い」とかそんな理由だったりしそう)、では、全く接点のない人同士をヒカルが結びつけ始めたらどうなるか? …ちょっと面白くなるなと。

例えば私が昨夜ツイートした薩摩琵琶の語りものとフレンチプログレメタルの融合した音楽とか、ああいうのも一種だろう。異質過ぎて結び付かないと思われていた人と人を結びつけたらどうなるか。そういう“実験”をヒカルさんが始めたら奇想天外なことになるのではないかなとな。

キャリアが使えるようになってきているはずなんだ。デビュー24周年。ベテランで知名度も信頼度も抜群で、沢山のジャンルのミュージシャンからリスペクトされているから出来ることがある。ロドニー・ジャーキンスとジョン・セオドアと小田和正スクリレックスの全員と共演したことのあるミュージシャンはヒカルさんただ一人だろう。それがそろそろ「組み合わせ」になっていったら面白いのに。そんなことを考えながら、今夜零時を待ってる最中なんですのよ今。