無意識日記々

mirroring of http://blog.goo.ne.jp/unconsciousnessdiary

『初恋(2022 Remastering)』…っ!

初恋がやばい。

いやね、リミックスとマスタリングだと音の変わり方のリミットが違うんですよ。リミックスは録音した素材を選ぶところから始められるので、例えば今回の『First Love(2022 Mix)』みたいにイントロに新しくヴォーカル・ラインを加えたり出来るわけです。今まで鳴ってなかった音もありだと。

翻ってリマスタリングは、録音素材自体はもう変わらない。それをどう際立たせたりするか程度の色調調整くらいしか出来ない。なので、リミックスよりリマスタリングの方が変化が小さいのが常。

常、なんですが、今回ばかりはリマスタリングの方が印象の変化が大きいよね…! 『First Love (2022 Mix)』が素晴らしい仕上がりなのは言うまでも無いのですが、それ以上に『初恋(2022 Remastering)』の音がやばい…っ!

こんなにも各楽器、各声部がハッキリクッキリ際立って前面に押し寄せてくるとは。スティーヴ・フィッツモーリス、侮り難し!

ポイントはそこなんすよ、オリジナルの2018年の『初恋』をレコーディングしたのもミックスしたのも、スティーヴ、あんただろ!? っていうね。4年前の自分の仕事をブラッシュアップするにあたって2通りの考え方が出来て。一つは、同じ人がリマスターするんだから同じ傾向になる筈で、だったらそこまで劇的なサウンドの変化はない、という考え方と、もう一つは、既に一度録音とミックスを行っているのだから何も知らない状態からマスタリングを始めるよりずっとサウンドと楽曲を熟知した状態からスタート出来るので更にいい音に仕上げられる、という考え方と。今回はどうやら完全に後者だったのではないかなと。

そう、サウンドの仕上げって時間を掛ければ掛けるほどよくなるもので。その昔、もう半世紀前の話だが、ボストンのトム・シュルツが1枚のアルバムのミックスに半年掛けたと聞いた時には心底吃驚したものだけど、技術の進展した21世紀においても、やっぱりサウンド作りは時間を掛けて丁寧に出来ればよりよくなる、すなわち美音は職人芸なのだと痛感しましたわ今回。

恐らくだがこれは、一旦ドルビーアトモスサウンドを作ってから通常の2022 Remasteringバージョンを制作したという手順が奏功したのでないかなと。まぁそこらへんの細かい話は触れるとしても追々にしよう。今回ヒカルがやけに新しいサウンドを告知してきてくれていたのは、なるほどよっぽど自信があって早く聴いて欲しかったからなんだなと痛感致しました。ドルビーアトモスApple Music限定だけど、通常の『初恋(2022 Remastering)』なら各種サブスクで聴けるはず! …なんですが、もうどうせならNetflixさん、ドラマ「First Love 初恋」のロングPV、即ちフルコーラスバージョンを、『First Love (2022 Mix)』だけではなく、『初恋(2022 Remastering)』でもYouTubeに用意してやくれませんかね…!? あ、再生回数が比較されちゃうの難しいっすか。そうっすか…。