無意識日記々

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ヒカル、最初は断っていた。

おぉっと、ここにきて「キングダム 運命の炎」プロデューサー氏(松橋真三さん)のインタビューがリリースされて様々な事が新しく明らかになったぞ。

https://otocoto.jp/interview/ikenobe213/

「(前略)嬴政という存在を形づくる上で一番重要なのが紫夏です。そのエピソードはこの映画では前半の方にあるのですが、全体を観終わった後にもう一度その気持ちを思い出してほしい、そういう構造にしたい、ということから、女性のアーティストにお願いしたいと思っていました。」

なるほど、エンドロールで紫夏のことを「もう一度」「思い出してほしい」「そういう構造にしたい」から前2作と打って変わって女性アーティストにね。これは合点がいきやすいわね。

「池ノ辺 すぐに引き受けてくれたんですか?」

「松橋 実はプレゼンに行って、最初は断られたんです。」

おぉっと、そうなのですよ、ここで新事実発覚なのよ! 「最初は断られた」んだそうな。うむうむ、ヒカルは1回断ってるんだね。ヒカルによるとオファーが来る前の段階で既に照實さんのススメで「キングダム」の原作漫画は少し読んでいたようだから、「これは自分に合わない」と思ったんだろうな。幾つかの発言から随分逡巡していた事は伝わってきてたけど、一度はハッキリ断っていたとはね。まぁプロデューサーさんが言う分にはいいけれど、断った方は少し言いづらい話だったのかもしれないわね。

「ただ、どうしてもお願いしたいという想いで書いていった手紙は渡してきました。そうしたら後日連絡があって、そこまでの熱意なら、もう一度話を聞かせてほしいと言ってくれたんです。」

そしてプロデューサー氏の手紙で逆転劇が生まれた訳か。

「「施された恩は次のものへ送る」などのような、人間にとって幸せとはなにか、そういうことがこの作品の世界観の中心にあると。その大枠だけ理解してもらえば、あとはあまり映画のことは気にせず自由に作ってほしいと伝えました。」

ほほぉ、ここで既に「幸せとは何か」という、ヒカルが曲のテーマとして据えた命題が提示されていた訳ね。映画側からの提案だったとはな。だって「キングダム」と「幸せ」ってあんまりにも合わないんだもん価値観的に。ちょっとここは興味深いわね。「4」以降で様子が変わるのかもしれんわ。

「そうしたら、『キングダム』『キングダム2』を観てくださり、『キングダム3』のラッシュも渡したのでそれも観てくださった上で、書いてくれました。」

ここでヒカルが初めて前2作の映画を観たのか! つまりまとめると、

① ヒカルにオファーが来る

② 原作を少し読んでたヒカルが断る

③ 諦めない映画側が手紙で説得

④ ヒカルが前2作を観て承諾する

こんな流れだったのねぇ。やっぱり大沢たかお演じる王騎のキャラの濃さに圧倒されて…? いやいや、あれ観たら普通怖じ気づくだろ…(笑)。多分だけど「運命の炎」のラッシュに既に紫夏がフィーチャーされてたんでないかな? そこはヒカルも語っている通り、紫夏の物語に沿ってであれば宇多田ヒカルの歌はフィットする事は見えてくるからな。

ふむ、こういう順序で歌が作られたのなら、なるほど『Gold ~また逢う日まで~』全体に通底するある種の「恐怖感と不安感」は嬴政の心根に根差したものであって、それを克服するにあたって紫夏の存在が必要不可欠であったという事を表すためにこのような構成の歌になったんだな…っていう話をまたいずれ出来る見通しになったわ。…って、殆ど書いちゃったね(笑)。

兎も角、映画のエンディングで聴いた時の第一声が「いやなんでこのオファー受けたの!?」だった私としてはヒカルが「最初は1回断った」というのは非常に受け容れ易いエピソードで、蟠りとまではいってなかったけど、些細な違和感というか、ちょっとした引っ掛かり、喉に刺さった魚の小骨みたいにずっと滞ってた感覚は雲散霧消致しましたわ。いやぁ、すっきりした! やっぱり関わった人たちのインタビューって重要ねぇ。次は誰か『Gold~』の編曲に携わったA.G.Cook氏にインタビューしてくれないかしら?