無意識日記々

mirroring of http://blog.goo.ne.jp/unconsciousnessdiary

『私、ジャンルがわからなくて。』

しかしあのままだとまるで羽田の駐車場で着替えたみたいになって「宇多田さん、外で服脱いでたんですか?」って訊かれかねないよね。それはさておき。

この、「ふとした瞬間に出会す」歌、何かあったかなと思った時に浮かんだのがUTADAの『Crossover Interlude』だ。クロスオーバーとは2つの線が交わる点を指す。「でくわす」は「出交わす」とも書くのでお誂え向きだね。

『I don't wanna crossover

 between this genre, that genre

 Between you and I is where

 I wanna crossover, cross the line

「私が越えたいのは

 ジャンルとジャンルの間じゃなくて

 あなたと私の間なの

 一線を越えよう』

今回の一連のインタビューの中でも

『宇多田:私、ジャンルがわからなくて。ジャンルから聴くとか意識するということがないので。好きな曲があっても、ジャンルが何かはわからずに聴いています。』

https://block.fm/news/utada_taku_talk

なんていう発言が目立つ。一方でなりくんについて「ディグって教えてくれる友達最高」みたいなことも言っていた。

そもそもジャンルって何の為にあるかというと「こちらから探していきたい」際に応える為だ。ある曲が気に入った、じゃあ似たようなものは他にあるのかという時にその曲はこういうジャンルだよというのがあればそこから掘り起こしていくことができる。今回Taku's Remixを聴いて「ジャージー・クラブ」というキーワードで検索した人も多いだろう。明日のTCY Radioではジャージー特集するんだっけか。

だがヒカルはそうしないのだ。ある曲が気に入ったら「この曲が気に入った」で終わり。そこから「似たもの」を探そうとはしないので、ジャンルというものが必要な場面が訪れないのである。それで特に何が困るということもない。昔ならラジオを点けておけば新しい曲に出会えてただろうし、今ならポッドキャストや定期更新プレイリストなどで幾らでも新しい曲が向こうからやってくる。その都度聴いて判断すればいいだけで、ジャンルの出る幕は無い。問題はどの局にチューニングするか、どのプレイリストをライブラリするかだがそこの話は今は置く。

なので、昔からヒカルは「ジャンルに拘らずに何でも聴く」とか「聴く範囲が広い」とか言われてるけど、本人の感覚としては真逆なのだ。今目の前で鳴ってる曲にしか興味が無い。恐ろしいのは、自分で作った曲ですら同じ扱いなことだ。作り終わって作業をする為に鳴らす必要の無くなった曲が視野に入る事は無い。コンサートで歌うためにリハーサルでやっと久し振りに聴くとか、それもまた「そうする必要があったから」でしかなく。

なので、ヒカルの新曲が常に新しいサウンドを伴っていても、あんまり気にする必要は無い。「今鳴ってない他の曲と比較をする」からジャンルだの音楽用語だのが必要になってくるのであって、そうしないなら「この歌いいね」と一言添えておけば十分である。それで伝わるし、作り手としても相手にそう言って貰う事がゴールだから、語彙が足りないとかなんとかは全く、全く思わない。『Gold~』はオリジナルもリミックスも多彩なサウンドなので語るハードルが高くなる雰囲気になるかもしれないが、遠慮なくいつも通り「ヒカルちゃんが可愛い」「いい声~」で済む。済ましていいのよね。

じゃあこの日記は何を書いているの?ってなりそうだけど(笑)。まぁいいんじゃない?Kiss & cry? lol