『俺の彼女』の歌詞の構成について基本的なポイントを復習しておく。何れも当日記では既出事項のはず…だとは思うものの自信がないのでまた書いとこうというね。
まず、この歌は『俺』と『私』の2人の視点から歌われている。そして、『俺』の歌うメロディの方が音程が低く、『私』の歌うメロディの方が音程が高い。ここらへんは『Simple And Clean』と同様だ。
『俺』は『俺』のことを『俺』と呼び、『私』のことを『俺の彼女』と呼ぶ。他の呼び方はしない(美人とか気の利く子とかは言うけど)。更に、ら行の発音が巻き舌である。(例えば『つまらない俺に』を『つまるぁない おるぇに』と歌っている)
『私』は『私』のことを『私』と呼び、『俺』のことを『あなた』と呼ぶ。『女はつらいよ』『強い女』と歌うことから、女性であることがわかる。歌声は高く柔らかい。
以上を纏めると
『俺』
旋律の音程:低い
相手の呼称:『俺の彼女』
性別:不明
歌い方:巻き舌
『私』
旋律の音程:高い
相手の呼称:『あなた』
性別:女性
歌い方:優しい
という感じだろうか。
途中フランス語パートが2回出てくる。私はフランス語をわからないので、解説してくれてるブログを紹介しておく。詳しい人が居るって嬉しいね。
https://payapayapon.hatenablog.com/entry/2018/10/28/010516
で、昔書いたように、ヒカルがこのパートをフランス語で歌っているのは、聴き手に「何を歌っているかわからない」と思わせる効果を狙ってのことだと思うので、わからないならわからないままでいいと思っている。「相手の考えてる事がわからない」というのがこの歌のテーマなので、それを実際にリスナーに体験させるために導入されているパートなのだろう、とね。
そしてこのフランス語パートは、基本のハーモニーがオクターブ、つまり、同じ音程の高いのと低いのの2声で構成されている。他にもバックコーラスがハモる場面は多々ある(『敢えて訊かない』とか『狐と狸の』とか)のだが、低い声と高い声が対等のオクターブ・ユニゾンに聞こえるミックスになっているのはフランス語パートのみである。それは即ち、『俺』と『私』の思いが同じく重なり合っている事の表現なのだろう。つまり、フランス語パートは2人が別々に同じと歌詞を歌っているのだ。まぁ、この解釈には異論があるかもしれないけど。
『俺』の性別が「不明」なのにも異論はあるかもしれないな。『私』の方は『女』という歌詞を二度も出してきているのに、『俺』の方は一度も「男」と歌っていない。低い声、巻き舌、一人称が俺、尊大な態度…確かに「どう考えても男」かもしれないが、「俺っ娘」である可能性はどうしても残るし(というか私が捨て切れないだけかもしれないが)、そしてそうであってもこの歌の歌詞は成り立つ。なので一応『俺』の性別は「不明」にしておく。勿論、個々のリスナーの解釈は自由でいい。『私』も性自認が女性なだけで社会的性や肉体的性が女性ではないかもしれないし、様々な組み合わせを妄想する事が可能だろう。
以上のことを踏まえた上で次回は『Devil Inside』との歌詞の構造の相似と差異についての話をしたいのだけど………次の更新は週明けになる予定なので気が変わってたらすいません。(よくあるねぇこのパターン)