無意識日記々

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どちらも同じ『SCIENCE FICTION』!

今回の一連の宇多田ヒカルのデビュー25周年企画、最も特徴的なのは、プロジェクト全体で『SCIENCE FICTION』というたったひとつの名前を冠していることだ。

そう、リリースするアルバムとそれに連動するツアーの名前が同じになるのは、四半世紀に及ぶ宇多田ヒカルの長い歴史の中で初めての事になるのである。

デビューライブは『Luv Live』で、アルバム『First Love』から“Love”を拝借したかな?という程度。アルバムが“1st”なのでゼロを意味するLuvなのかなという気もするが、何れにせよ繋がりは、あったとしてもわかりにくい。

初めての全国ツアーの名前は『Bohemian Summer 2000』。その『First Love』アルバム発売から1年以上経ってからというタイミングもあり、その頃の出力といえばラジオ番組『Tres-bien Bohemian』であった事からこう名付けられた。Bohemianはヒカルの敬愛するフレディ・マーキュリーが在籍したクイーンの代表曲“Bohemian Rhapsody”からとられている…と皆当然そう思ってるけど、正式にステートメントあったことあったかな? 案外記憶になかったりする。

2004年の『ヒカルの5』は、5周年ライブを5夜お送りするということで、漫画「ヒカルの碁」をもじって名付けられた。アルバム名も曲名もまるで関係なかったな。

2006年の全国ツアーは『UTADA UNITED 2006』。完全にその時のニューアルバム『ULTRA BLUE』と連動したツアーだったが、ご覧の通り名前に直接の関連性はない。「宇多田ヒカルUTADAをユナイトする」などの意味が重視されていた。

2010年の『Utada In The Flesh 2010』はその時の最新シングル曲『Dirty Desire』からの一節、『To see me in the flesh』から採られている。殆ど初めて、自らの作品自体からの引用だった。今思えばこの歌詞自体がツアーを見据えてのものだったのかもしれないな。

同じく2010年に行われた『WILD LIFE』、これは未だに由来が全くわからない。…くま?

そして前回の全国ツアー『Laughter in the Dark Tour 2018』は、ウラジミール・ナボコフの小説「カメラ・オブスクーラ」の英題からとられている。『夕凪』がナボコフの「青白い炎」に影響を受けている…という細い御縁からすれば、一応楽曲と関係があると言えるかもしれないが、自らの作品からとられたと言うのは無理よね。

2021~2022年の『Hikaru Utada Live Sessions from Air Studios 2022』については、中身の説明ですわね。2001年の『MTV UNPLUGGED』とかもそう。特に深い意味はないかな…と思う。相手がヒカルだとこんな事務的な名付けでも警戒してしまうわ(笑)。

斯様な過去の経緯を振り返ってみると、今回リリースするアルバムとそれに伴うツアーの名称が全く同じというのは異例中の異例なのである。それを考えたら、やっぱりかなり作品とコンサートの内容の関連性が強いのかもしれないなと勘繰りたくなってくるのよね。次回はそこらへんの話から、になるかな。