無意識日記々

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「ベテランにも初心者にも」

宇多田ヒカル公式が『SCIENCE FICTION』というワードでどんなコンセプトを想定しているか、先日の@Hikki_StaffのInstagramへの投稿から抜粋して見てみよう。

https://www.instagram.com/p/C0mL7kyRQNv/

日本語の方は業務連絡という感じだが、英語の方は何故かその日本語文の直訳ではなくところどころにやたら修辞が利いている小洒落た文体になっている。例えばここなど。

『Hikaru Utada is set to commemorate this milestone in fantastical style. 』

直訳して貰うとこうなる。

宇多田ヒカルは、この節目を幻想的なスタイルで記念する予定だ。』

マイルストーンとかなかなかに大仰。で、“in fantastical style”だそうな。これを機械翻訳は上記のように「幻想的なスタイル』と訳してくれているが、fantasticalは単なる強調の意味としても取れるので注意が必要だ。「とても素晴らしいスタイルで」程度の意味でね。なので、実際に幻想的なスタイルで来るかどうかまだ定かではない。

しかし一方で、今回新登場したトレイラー映像を指してこんな風にも形容をしている。

『Alongside the announcement, a mystical teaser video was revealed on YouTube providing a tantalising peek into the imaginative universe found on the upcoming album.』

機械翻訳はこう。

「発表と並行して、次のアルバムに含まれる想像力豊かな世界を興味深く覗かせる神秘的なティーザービデオが YouTube で公開された。」

mystical=神秘的な、the imaginative universe=想像力豊かな世界…こんな風に映像が形容されているとすると、このイメージがアルバムやツアーにまで浸透しているのか?と問いたくなってくる。だって

アルバムの方はベストアルバムだよ? 「想像力豊かな世界」とかって、既存曲並べた作品で使う形容じゃないよね。

まーつまりだ、もしかしたらこのトレイラー映像は、「取り敢えず発表を煽る為に撮っておきました」といったその場限りのものではなく、ベストアルバムのブックレットからステージセット、ステージ衣装に至るまでここで示されたSF的な世界観が貫かれている事を示唆しているものなのか?と少し思わせるのだ。ただやはりこれも、単に映像の雰囲気を伝える為に少し大袈裟に表現しているだけとも捉えられ、今んところは何とも言えないな。

というか、この英文を書いたのが誰なのかによるよなー。もし少し外部の人(それこそmuumuseのブラッドリースターンあんちゃんとかさ)だったりしたら、修辞タップリのエモい書き方も納得がいきつつ、別に『SCIENCE FICTION』のコンセプトを知り尽くしている訳でも無いのだねと合点するのだけども。kjとかktとかのサインも見当たらないし、はてさてですわ。

さて、そういった形容的修辞よりも気になったのがここの表現。

『This eagerly anticipated tour, six years since their last electrifying live spectacle ‘Hikaru Utada Laughter in the Dark Tour 2018,’ promises an exhilarating experience for both seasoned fans and newcomers alike.』

機械翻訳するとこう。

「最後の衝撃的なライブスペクタクル『Hikaru Utada Laughter in the Dark Tour 2018』から6年ぶりとなるこの待望のツアーは、ベテランのファンにも初心者にも同様に爽快な体験をお約束します。」

肝心なところを更に抜き出そう。

“promises an exhilarating experience for both seasoned fans and newcomers alike.”

「ベテランのファンにも初心者にも同様に爽快な体験をお約束します。」

「ベテランのファンにも初心者にも」だそうな。これは私が前々回の日記で触れた

『SCIENCE FICTION』は、

 一体誰の為に、何の為に

 リリースされるのか?」

という疑問に対する、部分的な回答になってやしないか? つまり今回のツアーは、長年応援してきたファンの方を向いて壮大な25年を振り返る回顧的な内容だけでもなければ、新しく入ってきたファンの為に宇多田ヒカルの今をダイレクトに伝えるだけでもない、そのどちらも包含した極めて野心的な内容になると、宣言しているように見える。ますます、「茨の道だねぇ」と呟いてしまう私なのであった。

ツアーの内容がそうであるならば、連動するベストアルバムもそういった内容になっているのか? つまり、宇多田ヒカルのことをよく知らない人も楽しめるし、隅々まで知り尽くしてる人も楽しめるグレイテスト・ヒッツになっていると。あ、余談ですが、日本語で「ベストアルバム」ってしてるとこを英語では「グレイテスト・ヒッツ・コンピレーション」にしてるね。これは特に他意はなく、英語圏では“Best Album”は「その人の最高傑作アルバム」を指す意味になっちゃいがちだから他の言い方をする必要があったってだけですね。余談でした。

閑話休題。えぇっと、初心者も熟達者もどちらも楽しめるベストアルバムって、相当ハードル高いからね? 本来ならどっちかに照準を定めた方がいいように思うんだけど、ホントに大丈夫なのかと心配になっちゃうとこだわ。

しかし。私たちは、宇多田ヒカルとチーム宇多田ならきっとやってくれている、有言実行してくれてると信じられるのでありました。だってね、25年って長さで、ずっとこういう信頼を積み重ねてきてるんですもの。そうそうは、揺らがないわ。はい、きっと期待に応えてくれていると、確信していますですよっ!