無意識日記々

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新録3曲のコンセプトを予想してみる


しかし、こうなってくると「新録3曲がどういった位置付けで、コンセプトは何なのか」という点がますます気になってくるな。


新曲3曲に関しては、『Gold 〜また逢う日まで〜』『何色でもない花』『Electricity』と出揃いかけている所で、その方向性が見えてきた気がする。イケイケそうな『Electricity』とメロウで少しSFチックなあふぉのこ、そしてその両方を併せ持ったGoldということで、現在の宇多田ヒカルの歌詞の傾向とサウンドパースペクティブ、幅広さですね、それが明解になってきた。意図したわけでもないだろうが、アルバム『BADモード』から順当な進化といえる。「思いもかけない曲展開に溢れている」という意味に於いても。


他方、『Automatic(2024 Mix)』の電撃配信(この表現は『Electricity』の為にとっとくべきなんだけど、気にしないっ)を通して、2010年以前の曲のリミックスの狙いも明らかになりつつある。もちろんたった1曲だけで決めつけるのは早計にも程があるのだけど、取り敢えずこの代表曲中の代表曲が「当時の作編曲をできるだけ尊重しつつ、サウンドを現代版にアップデートする」事を狙いにしているという事実は結構大きい。つまり、「なんか昔の曲飽きちゃったね、いろいろいじくってみる?」というノリのリミックスとはまさに正反対の、「過去の素晴らしい楽曲たちをできるだけそのまま、若い人たちに古臭いと敬遠されないように控えめに工夫して送り届けよう」という意図のリミックスの方向性なのだ。うむ、これは非常に意義深い。そりゃヒカルも染み抜きしながら衣服にまた涙を落とすわな。また染みになっちゃうぞ。


以上の事を踏まえた上で、もう一度新録3曲のタイトルを並べてみよう。


『Addiction To You  (Re-Recording)』

『光  (Re-Recording)』

traveling  (Re-Recording)』


このうち、『Addicted To You』は比較的リレコーディングする動機を付与しやすい1曲といえる。そもそもがジャム&ルイスという大物とのコラボレーションであり、また、結局シングルとしてリリースされたミックスもUP -IN-HEAVEN MIXとUNDERWATER MIXの2種類があって「これぞ宇多田ヒカルAddicted To Youだ!」みたいな決定版のリミックスが無かった。今回の初のベストアルバムリリースを契機にその決定版を制作しようというのならわかりやすい。


traveling』は、PVの影響が大きいのだけど、どこかSFのイメージを纏っている。つまり、この曲は、『SCIENCE FICTION Version』を作るのに最も相応しい1曲だということができそうだ。アルバム『BADモード』からこちら、「泣けるダンスチューン」を基軸にして展開してきた楽曲群ともよく呼応する。『止まるのが怖いちょっと』なんてまさにイケイケかつ情緒って雰囲気だしね。これも動機はわかりやすい。


となると、『光』が難しい。自らの名を冠した、非常に特別な楽曲を今になってどうやって? シンプルに考えるなら「今の私」バージョンということになるのだけど、今後もではずっとアップデートしてくのかな。特にこの曲はオリジナルが出色の出来なだけに一体どう料理してくるかみものだわ。あ、ラフダクのバージョンをベースにしてくるとかかな!? だとしたら非常に楽しみ。


いや、全部が全部楽しみ過ぎるぞアルバム『SCIENCE FICTION』! 果たして初聴で全26曲通して聴けるかしら。かなりヤバいことになりそうだぜ!