無意識日記々

mirroring of http://blog.goo.ne.jp/unconsciousnessdiary

金環日蝕〜 annular eclipse 〜

道行く人の殆どが朝の空を見上げて何か言っている。それだけでも奇妙な光景だ。生憎関東では朝から曇り空で、ちらちらと途切れ途切れになる雲間から時々太陽がその姿を覗かせているようだ。ふと、まるで満月の夜のように冷たくふんわりとした光が肩口に落ちてきた。思わず空を見上げてしまうと綺麗に環状に縁取られた太陽の姿が見える。肉眼でも見えちゃうもんなんだね。或いは分厚い雲がよい具合に光量を弱めてくれていたのかもしれない。或いは私はただ単にちょうど円形に千切れた雲の欠片がこれまたちょうど太陽の上を通過した瞬間を目撃しただけかもしれない。いや、それもまた稀有な体験なのでこの際どっちでもいいや。

金環蝕などというと天空の出来事かと思っていたが、あの、曇りの日の朝の灰色の明るさの中に差しこんできた"月の光"は、地上に感じる天体ショーだった。なるほど、この大地の方も今回の天体ショーの一員なのだ。宇宙空間の中で太陽と月と地球が綺麗に並んだ瞬間だったのだから。なんとなく、これは他人事でなくて自分も巻き込まれたんだな、と思った。この星の表面にへばりついている1人として。

この蝕は、今ロンドンに住んでいる人はあんまり関係がないだろう。しかし、動画生配信は各所で行われているらしいから、或いはそれを見ているかもしれない。なんだかんだで、"Eclipse"という曲を作った事のある人なのだから。

EclipseはPassionへのIntroductionであり、即ちPassionとは「太陽が現れる」歌である。また、ULTRA BLUEアルバムではEclipseの更に1曲前はBe My Lastである。これは、三島由紀夫の豊穣の海4部作という転生の物語を原作にもつ曲だが、古代の人は一度太陽が闇に隠れて再び姿を表す様子を見て、「太陽が生まれ変わった」と解釈した事だろう。つまり、このBe My Last ~ Eclipse ~ Passionの流れ(シングルの発売順もこうである)自体もまた転生の物語であると解釈できる訳だ。光がどこまで意図的だったかは、毎度ながらよくわかんないんだけどね。