無意識日記々

mirroring of http://blog.goo.ne.jp/unconsciousnessdiary

熊淡四:「なんとなく」の表側1

「なんとなくインディーズ特集」。その“なんとなく”の含意について、前回に引き続き、今度は素直にそのまま解釈した場合のお話。

今回のテーマは「インディーズ」では な く 、「インディーズ"感"」である。或いはインディーズ"っぽさ"と言い換えてもいいかもしれない(よくないかもしれない)が、この漢字一字の"感"を付ける為にこの一時間はあったと言っていい。

まず、Hikaruはこう切り出す。『だいたいメジャーとインディーズの違いってみんななんとなくわかってると思うんだけど』。ここがまず面白い。普段何気なく音楽に触れているリスナーは「メジャーとは何ぞや」とか「インディーズとはどう違うか」とか突き詰めて考えて聴いていたりする訳ではない。ただ単に、「今度メジャーデビューする○○のナンバーです」とか「△△って最初はインディーズからCD出してたんだね」とかいう実例を幾つか耳にした事があり、そこからメジャーアーティストとインディーズアーティストの全体の傾向の違いを漠然とだがイメージしているに過ぎない。ここらへんの、つまり、平均的なInterFMのリスナー層を想定して話し始めてる訳である。

そして、ここが重要なのだが、明確に言語化されていない"インディーズのイメージ"を、実はみんなもう持ってるよね、という所から始めていながら、ここから敢えて1時間かけてその"インディーズ感"を解説し、明瞭な概念へと昇華させるのが狙いなのである。Hikaruはそれを、どうやるか。みてみよう。


すぐさま彼女はこう続ける。番組が始まってから僅か一分である。

『簡単に言うと、メジャーレーベルっていうのは凄く大きな会社で、どっかに多分加盟してて、数もそんなになくて』
『それ以外のもっと小さな会社をインディペンデント・レーベルとかプライベート・レーベルって、いうのかな』

『で、ミュージシャンからしていちばんおっきな違いは、メジャーレーベルの場合、何かが出る時に、プロモーションの展開が、凄くこう大規模で、その代わりミュージシャンに行くお金の割合、CDの売上とかから入ってくるお金の割合が少ない』
『で、インディーズだとそこまで大規模なプロモーションは展開出来ない若しくはしない、けれどアーティストに行くお金の分配がもうちょっと多い、っていうとこかな』


…いきなりお金の話である。下世話さ甚だしい。が、いや、まずは言葉の定義と、そこから来る直接の帰結から入っているのだ。つまり、このエピソードでは「インディーズ"感"」という内面的なフィーリングを共有する事がテーマなのだが、そういうあやふやな所に直接行くのではなく、まずは誰にでも共有できるもの…辞書的な定義と、そこからくる現実的な違い、この場合お金の話だが、そういう所から話を始めているのだ。内面的なフィーリングを共有する為に、フィーリングから入るよりまず"共有"の方から入るあたり、いかにもUtada Hikaruらしい。


ここから一時間かけて、Hikaruはその「インディーズ"感"」の"感"の部分をつまびらかにしていく。その模様を次回以降もみていく事にしよう。