無意識日記々

mirroring of http://blog.goo.ne.jp/unconsciousnessdiary

CD&DL-1

スガシカオの「DLじゃ赤字。CD買ってくれ」発言が記事として取り上げられていたようだ。どうにもこの件で誤解が広まっているようだが、CDに較べてDLの方が(アルバムだと1000円程)安いのは、物理的コストが削減されたからではない。製品の製造や流通に関する経費は多く見積もっても10%位(それでも大抵の場合は多すぎる)で、もしその分だけDLが割安になるのであれば3000円のCDが2700円になる程度だ。現実には恐らく3000円のままだろう。消費税より割合は低いのだから。

中間に搾取する業者が居る、というのも都市伝説である。一体それは具体的に誰なのか明示的に語っているのを見た事がない。CDの値段の殆どは「レコード会社の取り分」と「小売業者の取り分」であって、それが6割〜8割を占める。(条件によってかなり幅がある) 中間に居る謎の誰かではなく、皆さんもよくご存知の人たちがCDの値段を上げているのだ。著作権管理団体に文句をつける人も居るようだが、少ない印税を誰と誰がとるかという井の中の蛙な話であり、そこも大きな影響はない。

例えば、電子書籍の新刊は紙の書籍の1割引程度が主流だ。CDより遥かに物理的コストの高い書籍でこうなのだから、物理的コストが実際に思われているより遥かに低い割合だという事がわかるのではないか。

小売業者の取り分は3割と相場が決まっていて、AppleもiTunesStoreでその程度はふんだくっているだろうからDL販売で割を食うのはレコード会社の取り分である。あとは印税の割合次第だ。

何故DLがあの値段かというと、Appleがそう主導したからに他ならない。デファクトスタンダードの強みである。日本のレコード会社が配信市場をリードできていたなら、着うたフルがそうであったように一曲400円になっていたのではないか。

そんな事情なので、スガ氏の言っている事は正しい。が、だからCDを買って欲しいと言っていると思われる書き方をしたのは得策じゃあなかったな。まぁそれはいいや。

解決策はカンタンで、DLの値段を上げればいい。それだけ。皆が買うかどうかは知らんけど。

根本的な問題にメスを入れるのであれば、レコード会社の取り分をどう考えるかである。ここの大半は原盤の制作費と広告宣伝費だ。これを減らさないと、CDやDLの値段は下がらない。

日本のレコード会社が、他の国に較べて高コストなのは明らかだ。世界一CDの高い国のひとつなのだから。今回スガ氏が指摘したのは原盤の制作費の回収と次回の原盤制作の資金獲得の話だが、広告宣伝費も勿論大きな割合を占める。

これは、「皆が知ってる大ヒット曲」を生み出す為にCDの値段が上がっているというなんだか逆説的な話になるのだが、ちょっと長くなりそうなので続きはまた次回。