無意識日記々

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旅芸人メンタル

前に読んだ藤圭子へのインタビューに興味深い記述があった。「テレビの普及で旅芸人の需要が激減した」というのだ。言われてみればさもありなん。昔は"芸能人"の芸を見るには直接呼ぶしかなかったが、テレビのお陰で箱ひとつそこに置いておいたら限り無く芸を見続けられる。当初は物珍しさも手伝って多くがテレビに流れた事だろう。

芸のうちでも、しかし、歌手については21世紀の現在、まるで逆の事が起こっている。テレビを居場所とする歌手は殆ど居らず、音源を売る事すらままならない中、興業だけは好調である。この夏に一体どれだけの音楽フェスティバルが開催されるか。こと音楽に関しては、今やライブ・コンサート/ツアーが主たる活躍の場になっている。まさに"旅芸人"の復権といえる。

藤圭子が件の状況を指したのは半世紀ほど前の話だから、それだけの年月があればそういった"揺り戻し"があるのも不思議ではないな、と思ってみたり、たったこれだけの年月でそこまで変わるか、と思ってみたり。解釈は様々だろうが、どんな形であれ人前で歌うスタイルの人はライブ・コンサート/ツアーを重視しなければいけない。

一方で、逆側にアクロバティックに考えてみてもいいかもしれない。半世紀前にテレビの登場によって状況が一変したように、また近い将来何らかの新しいデバイスが世に出て、また"旅芸人の需要が激減する"事態に陥る事が、あるかもしれない。デバイスでなくとも、社会状況経済状況政治課題などによっても変化が訪れるかもしれない。出来る事なら、どう転んでも活動を続けられるようになっていては欲しい。

既にSCv2の時点で円盤の発売はWILD LIFEの開催と連動していた。今後は、ヒカルでさえも、そうやって"必ず"円盤と興業が連動して動いていくのかもしれない。こればっかりは、まだちょっとよくわからない。コスモポリタンボヘミアンなわりには、まだあまりツアー生活が得意な感じはしてこない。まだ3回しかツアーしてないし。ただ、"旅芸人メンタル"に関しては、それこそ親子三代に渡る精神的継承がどこかにある筈なのだ。それを今後どこまで発揮できるか。お母さんは旅芸人を否定的に捉えていたかな? そこらへんが鍵にはなりそうである。