無意識日記々

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空気を読むかそもそも打ち破るか

新曲を一曲も出さないうちに(と言っても桜流しがあるけれど)アルバム制作中と宣言するのはたぶん初めての事だ。1stアルバム以来、ともいえるがまぁそれはデビューだし。これは、だから、ちょっと珍しい。

そのリズムは、Utadaの活動の方がより近い。曲が出揃った所で、さてシングルカットはどれにしようと考えるやり方。ヒカルの方は、2nd以降まずシングルを何枚か出して、その流れでアルバム曲を作っていった、という風になる。この違いは大きい。

つまり、リスナーからのフィードバックがアルバムに何かしら反映されるか否か、だ。EXODUSやThis Is The Oneには、制作途中でリスナーからの影響がない。その為、トータルとしてのバランスを最初から考えつつ作る事が出来た筈だ。

ヒカルのアルバムの方は、一曲出した、反応が返ってきた、さてじゃあ次はどうしようかという流れの中で収録曲が決まってゆく。HEART STATIONアルバムの"発端"はぼくはくまだが、この曲に対するリアクションのお陰でFlavor Of Life以降の親しみやすい路線が生まれた。勿論FoLの特大ヒットもまた次に続く曲たちに影響を及ぼしている。市場との相互作用の中でアルバムが出来上がっていく感じがある。

今回は、ややもするとそれ(リスナーからのフィードバック)が無いままアルバムが出来てしまうのかもしれない。それはそれで、アルバムがただのシングル曲集ではなく(それでもいいと思うんだけど)トータルとしてのバランスに優れた作品になっていくだろうからそれはそれで楽しみだ。

ただ、フィードバックがないからこそ独り善がりな作風になっている可能性もある。特に、ヒカルはもう何年も新規露出無しで遠ざかっている。“空気が読めていない”と揶揄される危険もある。どうなるか。

しかし、今の市場をみていると、逆に空気を読めないくらいがちょうどいいような気がしてきた。今の空気を読んでそこに同調してしまうと、なんだかヒット曲が書けそうにないように思える。ここはいっそその空気を打破するような作品で新しい風を送り込んでもらった方がいいかもしれない。こればっかりは、やってみないとわからない事だらけだろうなぁ。