無意識日記々

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now available #Forevermore

『Forevermore』が遂に全編解禁になった。いやはや全く以て素晴らしい。絶賛する以外無い。もう慣れっこになってしまったが、たったひとりのアーティストの出す新曲がいちいち素晴らしいだなんて奇跡的以上だよ。もう藤井四段の29連勝か双葉山の69連勝かと。「勝って騒がれるより負けて騒がれる横綱になりなさい」ってなもんで、宇多田ヒカルの新曲が名曲なのは当たり前過ぎてニュースにならないかもしれない。「安定の宇多田クォリティー」っつって放置か。

いやいやいやいや、そんな事は言わせませんよ。こんな曲他じゃ聴けないし、今までのヒカルのレパートリーにもなかったんだから「世界が新曲を生んだ」と言いたくなるくらいに鮮やかです。

ミュージックビデオも朝から解禁になった模様だ。なんとヒカルが踊っている。次から次へと流れてくる情報に踊らされて新曲の素晴らしさに胸踊らせている身としては踏んだり蹴ったり泣きっ面に蜂ってなもんで勝った白鵬のダメ押しかと(さっきから何なの謎の大相撲推し)思ったが、世界的にアクセスできるようになるのは8月10日頃らしいので、まぁそのあたりで触れる事にして。


『Forevermore』フルコーラスを聴いて最初の呟きが「オートクチュール」だった。ここでは「オーダーメイドの高級品一点モノ」という意味だ。まるで私がヒカルに「こういう曲を聴きたいから作ってくれ」と偉そうに頼んで出来上がってきたみたいに、身体中にしっくりくる。着た瞬間に、「あ、俺んだ」と錯覚できるくらいにハマっている。ただひたすらにサウンドが心地良い。

『大空で抱きしめて』は、ポップに始まって夕暮れから夜に描くグラデーションのように徐々にシリアスさを増してヘヴィな境地まで導く傑作だったが、『Forevermore』はストリングスの荘重な響き(というには若干音が軽い気がしますが)から始まりつつ次第にジャズの軽快なリズムに巻き込まれていく、大体真逆な構成を持っている。とはいえ楽曲自体の雰囲気が変わるというよりは、聴いているこちらが"楽しくなってくる"楽曲だと言った方が的確か。

その性質は、この曲が主題歌を務めるTVドラマ「ごめん、愛してる」との体質面での共通点であるともいえよう。同作もまた、重いテーマを扱いながらも観ている方は深刻になるというよりは、ご都合主義的展開やドラマのお約束も含めて案外気楽に楽しんで観ている。そこらへんの体質に関するバランス感覚は、『ドラマのあらすじに感化され』たという通りの出来映えである。『Forevermore』もまた、ムードはシリアスでありながらひとつの楽曲としてのエンターテインメント性がとても高い。思わず踊り出したくなったのも納得の出来である。

人によって違うのかもしれないが、これでますます私は「ごめん、愛してる」を観るのが楽しみになった。シリアスなムードを纏いつつベタで大衆的な娯楽作品という点でほどよくシンクロしている。眉間に皺を寄せずに楽しませて貰う事にする。恐らく、二番以降の歌詞はドラマの後半で生きてくる筈である。ヒカルがそこまで考えて作詞したのは想像に難くない。『Forevermore』、予想以上に楽しめそうだわ。