無意識日記々

mirroring of http://blog.goo.ne.jp/unconsciousnessdiary

Forevermoreは5つのパートから成る

『Forevermore』という曲は都合5つの歌メロから成り立っている。こんなにパートが多い曲って今までにあったかな?


まず、バース(verse/詩歌という意味)或いはAメロと呼ばれるパートだ。歌詞でいえば1番では『確かな足取りで〜』から『〜呟きかけた』まで、2番では『友達は入れ替わり〜』から『〜教えてくれた』まで。オーソドックスな提示部といえる。

次はブリッジ(bridge/橋渡しという意味)或いはBメロと呼ばれるパート。1番では『あなたの代わりなんて〜』から『〜変わらない』まで、2番では『私の終わり〜』から『〜忘れない』まで。感情が徐々に高揚していく、これまた王道の配置である。

そしてコーラス(chorus/合唱部分)、サビと呼ばれるパート。『愛してる〜』から『〜あなただけだよ』まで。これは1番2番3番共通だ。

更にここからが宇多田ヒカルである。サビのあとに更にたたみかけてくる。『光』や『Apple And Cinnamon』でお馴染みのヤツだ。『Others come and go〜』から『〜いつまでもそうよ』まで。ここに来てやっとタイトルの『Forevermore』が歌詞の中に現れる。勿体ぶったもんだよ。


で。ここからがいつもと違う。更に新しいパートをぶちこんでくる。CメロというべきかDメロというべきか。カタカナならデベロップメント(development/展開部)とでも呼べばいいのかな、『恋の後も』から始まるパートだ。この曲のいちばんのフックラインである例のエレクトリック・ピアノの、いやあれは"エレクトーンの音色"と個人的には言いたいが、ハードロックならハモンドオルガンで鳴らすようなあのフレーズが切り込んでくる。ここがこの『Forevermore』のいちばんのハイライト。

またここは構成が凝っていて、サビ第2部の『いつまでも いつまでも』を歌詞は同じでメロディーだけ幾らか変えて提示した後に最も力強い『最後の瞬間を待たずともこれだけは言える Forevermore』に繋げるのだ。タイトルがこの言葉になった事実を最も説得的に表現し切る"名場面"である。

ここからもう一度、三度び『愛してる、愛してる〜』とサビ前半から歌い上げる。タイアップ相手の『ごめん、愛してる』もこれだけ『愛してる』と連呼して貰えれば本望だろう。そして『Others〜』から『いつまでもそうよ』をリフレインしてラストにもう一度展開部、"エレクトーンのパート"になるのだがここには歌詞がなくヒカルのアドリブによるスキャット(フェイクってヤツだね)が挿入されている。テレビで歌う時やライブ・コンサートの時、ここがどう変化するかが非常に楽しみだ。


斯様に『Forevermore』はパートがやたら多い。サビが二段重ねな上にそこからまた展開部をもっていて、一度はサビに帰還させ、もう一度はエンディングに導いていく。非常に凝った展開なのだが、スルスルっとすんなり聞けてしまうのはベース&ドラムスの"グルーヴ構成"が巧みであるからに他ならない。次回はそこら辺の話から。