無意識日記々

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「多種多様な価値観」の資料化

YouTubeで今現在『あなた』の再生回数をみると570万回余り、非常に好調である。一昨年の「全然前世」(なんか違う(笑))や昨年の「打上花火」みたいな年間特大ヒットには遥かに及ばないが、楽曲の立ち位置を考えるとかなり健闘しているんじゃあなかろうか。

テレビドラマ主題歌の『Forevermore』が350万回といったところだから、公開時期を考えると『あなた』はその倍以上のペースで推移している。確かに、再生時間が『Forevermore』の方が1分半、『あなた』の方が2分半と聴いた時の満足度が違うので単純比較はできないかもしれないが、『あなた』の人気が高いのは疑うのが難しい。

この差、ダウンロード販売では現れない差かもしれない。リピーターが含まれているからだ。昨日も書いたように非購買層は気に入った曲は買わずにYouTubeをブックマークしていくだろう。従って、何度か繰り返し聴く筈である。

このデータを、梶さんがみていない筈はない。つまり、各配信サイトでのダウンロード売上とYouTubeの再生回数の差と比を較べて、各楽曲のリピート率を出す事が出来る。それぞれの楽曲の浸透度がわかるのだ。

これに、昨年末からストリーミングが加わった。配信側がどこまで売り手にデータを提供しているか知らないが、それこそ性別や年齢や住所、聴く時間帯などなどのデータを伴ってあらゆる情報が取得できる。要は今までわかりづらかった「それぞれの曲の愛され方」が資料として見れるようになってきているのだ。

ストリーミングの方は今後どれだけ買い手に情報を開示してくれるかわからない。今のところ我々平民はYouTubeの再生回数をチェックする程度でいいだろう。他のアーティストに関しては知らないが、以前Utanetで調べた歌詞アクセスランキングとYouTube再生回数ランキングの間には強い相関があった。歌詞重視の曲ほどアクセスが多いとかあったけどね、『誰かの願いが叶うころ』があわやTop10だったり。今後ストリーミングの普及に伴いデータの開示範囲によっては「ヒット曲」という概念そのものが変化する可能性がある。

もっとも、今の時代に「ヒット曲」というのにあたる楽曲があるのかと言われたら心許ない。昨年の「打上花火」なんぞは、ある界隈では「今年いちばんの」みたいに言われているのにちょっと離れただけで「何それ?」と言われるような楽曲だった。「急峻な浸透」はあっても「なだらかな浸透」は難しい。

でもそういう「ヒット曲」のない時代な方が、ストリーミングのデータが提供する「多種多様な価値観」は受け入れられ易いかもわからない。その中で「国民的大ヒット」をヒカルに望む声があがるか否か、だな。