沢田研二がさいたまスーパーアリーナ公演を直前でキャンセルした、ですって。詳細は知らないけれど、タイミングは兎も角、客が入らないから中止するというのは公演規模が大きければ大きいほどアリだとは思うですよ。
算盤勘定の話ではなく。ショウ自体のクォリティーに関わる。ライブコンサートに於ける聴衆の反応というのは演出上物凄く大きい。黙って座っていろと言われるクラシックのコンサートですら、その「黙って座ってい方」で演奏者のテンションは変化する。腕を振り上げるタイプのライブなら尚更である。
実際、何万という人間を集めようと思ったら大してファンじゃない人たちも招かないと無理だ。彼らの来る動機は「有名だから」とか「皆に自慢できるから」とかなので、もし客が少なければ彼らにとってその公演は「観る価値なし」となりもう興味を持たれない。彼らにとって内容なんて関係ないのだ。「何万人もの人達が熱狂している場に居合わせる」という事実が肝要なのである。動員が増えれば増えるほどこの層の割合は増えていく。だから客席がスカスカの状態での公演は避けるべきである。沢田研二の言うことにもきっと一理があるのだ。いや、擁護も叩きもするつもりはないが。
世の中には逆の極端もある。「1人も客が来なかったらライブをするべきか否か」。これは結構難しい問題だ。昨今ならこの状況、誰にでも起こり得る。この間、都内のJR各線が台風襲来に合わせて計画的に運休していたが、ライブの日にこのような事態に陥れば誰も来ない可能性だって出てくる訳だ。考えておいて損はない事案だろう。
何の為に、誰の為にパフォーマンスをするのか。このような思考実験を通してその点を突き詰めていく。その事に意味がある。
さてヒカルさんはそういった仮定に対してどう考えるかな。多分、1人も来なければ歌わないと思う、というのが無意識日記的解釈になる。そして、1人でも来たら歌うんじゃないかな。フルバンドなどは避けて、マイクも通さず耳元で歌って貰って…嗚呼、今「ハンマープライス」があったら幾らで落札されるだろうね。THE ALFEEは400万円とかだったかな。「あなた1人の為に歌ってくれる権」。ヒカルならサービスで1,2曲歌ってくれるだろう。聴けた方も2曲もすぐそばで歌って貰えればチケット代云々なんて言わないに違いない。
繰り返すが、実際に起こるかどうかよりこういった思考実験を通じてライブに対するアティテュードを審らかにしておくことが大事なのだ。それを皆に常に報せておくことが皆を幸せにする。普段からファンとアーティストは綿密にコミュニケーションを取っておいてライブに備えましょうね。心構えの、問題として。