無意識日記々

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#裸婦抱く のヒューマン・モーメント

福岡初日無事終了の模様。で。「宇多田ヒカルの、悲しいニュース〜っ!」ってノリじゃなさそうだな。歌えなくなる程って相当悲しいことがあったんだろう。よく歌ったねぇ。そしてますますツアーがエモーショナルに、感傷的になっていく訳か。無事各公演が完遂されますように。

私はなるたけ感傷的にならないようにという方向性で来ているので、このまま行きます。ツアーが進めば進むほど乖離が甚だしくなっていきそうだわね…。


コンサートツアーというのはどこまでプロフェッショナルであるべきか。ヒカルのMCは、ショウの流れをぶった切るという意味では最悪の部類に入る。もうちょっと、こう、2時間の構成ってものを考えながら喋ろうよ…と思った事は一度や二度ではない。ショウを盛り上げる、という意味に於いて宇多田ヒカルのMCは超ド下手くクソである。

しかし皆、その超ド下手クソなMCを楽しみにやってきているのである。それを期待している人数は、ひょっとすると『First Love』を聴くのを楽しみにやってきた人数より多いかもしれない。幾ら歌が上手いといったって、仮にヒカルがノーMCのコンサートをやったらがっかりする人続出だ。皆、あの辿々しくたった今考えた事や感じた事をそのまま喋ってしまう正直なMCが大好きなのだ。そのせいでショウの演出上の完成度が著しく下がろうがお構いなしである。アダム・ボブロウの言葉を借りれば、歌っている時の人間離れしたパフォーマンスからの落差溢れる“Human Moment”こそが、あの辿々しいMCなのだ。嗚呼、あんな天上じみた歌を歌うこの女神か悪魔かよくわからない女性も、1人の人間なんだなと安心できる瞬間。でも、明らかに真心が籠もっている言葉の数々。お陰で皆をヒカルの事をもっと好きになる。多くの人間が魅了されていくのだ。──それこそが、歌をも上回る宇多田ヒカルの「魔法じみた力」なんだとは思うのだが、今は心地よくその“くまチャーム(魅了)”の魔法に掛かっておく事にしよう。明日もほどほどに、頑張れヒカル。