無意識日記々

mirroring of http://blog.goo.ne.jp/unconsciousnessdiary

何も伝えてない

京アニの焼失が悲劇的過ぎて言葉を失ったままだ。多くの国宝と人間国宝が亡くなった。まだこれを書いている時点では詳細は審らかになっていない。

早くも支援の輪が広がっているのを見て勇気づけられる一方、喪われたモノも人も二度と戻らないことに思いを馳せる。どれだけお金が集まっても、死んだ人も焼けた絵も還っては来ない。

最初にこのニュースを知った時自分の思っていた以上に悲しかったのは、恐らく今回亡くなられた方々の名前をただ見ただけなら自分は素通りしていただろうからだ。アニメスタジオのアニメーターの方のお名前なんて殆ど存じ上げない。辛うじて監督クラスの方々の名前を目にした事がある程度。もしこのニュースが「京都で火事があり会社員の誰々さんが死亡しました」という体裁のものだったなら、「あー火の元には気をつけないとね」くらいで済ませていただろう。

自分はコアなアニメファンではないが、京アニ作品は幾つも堪能させて貰っている。涼宮ハルヒに始まってらきすたけいおん日常氷菓中二たまこま甘ブリユーフォメイドラ…ワンクール完走した作品も幾つかある。絵の違いなんてわからない自分のような門外漢でも一目見た瞬間に京アニだとわかる作画の高品質には幾度となく感動させられてきた。そしてそれを描いたクリエイターの皆さんの名前は誰一人として知らない。

今回、名前も知らないうちに人生の中で僅かずつかもしれないがお世話になった方々が名前を知らないうちにいっぺんに何人も亡くなった。その事に自分はぞっとした。もし目の前に現れて「私はあの作品で動画を描いていたんですよ」などと言われれば間違いなく最敬礼で出迎えたいような突出した才能の数々がたった1日でごっそりこの世から消えたのだ。一言くらいお礼を言いたかった。名も顔も知らぬ人への感謝の気持ちは行き場を喪ったまま。遺族の方々の哀しみたるや幾許か想像もつかない。

名指しで「○○さんの絵はいいね」と言えていればどんなによかったか。遺された人たちも心身両面でまた筆を執れる状態に戻れる日が来るかどうかなんてわからない。でも、こちらは火事にも遭わず身内も無事でただ普通の日々を過ごしているだけなのだから、いつもと変わらず、今夜もアニメを観て作画崩壊にゲラゲラ笑ったりしていようと思います。そうなれるよう、哀しみを落ち着けていきたいな。