本日『Distance』アルバムのハイレゾ・リマスター盤がリリースされ、これで晴れて宇多田ヒカル名義の楽曲はほぼ総てハイレゾ音源で手に入る事となった。先日ストリーミングでも『初恋』アルバムがリリースされそちらでもヒカルの全カタログが聴けるようになった訳で、手堅く聴きたい人はハイレゾで、手軽に聴きたい人はサブスクで、という構図が出来上がって2019年スタートといったところか。
自分もゆくゆくはハイレゾ音源を揃えようと思ってはいるものの、ダウンロードが面倒くさいというわかりやすい理由で昨年12月9日リリース分からは後回しにしている。『Face My Fears』EPのリリースもあったし、自分の場合ライブレポ擬きに1ヶ月を費やしてたからね。
でもふと。そういやストリーミングでもリマスター版聴けるじゃないかと気がついた。ハイレゾだからこそいいんだろう?とか言われそうだが、ハイレゾかどうか以前に今回の企画は「リマスター再発」なのだ。ハイレゾ音質でなくても、マスタリングの違いはある筈なのである。
という訳でさっき早速ストリーミングで『Distance』アルバムから幾らか試聴して従前のマスタリングと今回のリマスタリングを聴き較べてみた。
なるほど、全体的にマイルドになっているな。5年前の『First Love』アルバムのリマスタリング同様、ヴォーカル周りの音のササクレを刮げ落として歌を出しゃばらせずに引き立たせている印象だ。以前は耳障りだったような音も総じて棘がとれて聴きやすくなった(肝心の『ドラマ』はそうでもなくてやや残念)。その中でもとりわけベースサウンドの改善が嬉しい。オリジナルではかなりの存在感があったベースは元々少し低域に広がり過ぎていて音がぼやけている感じだったのだが、今回のリマスターでは力感を損なうことなく上手く中央付近に纏めてベースラインの輪郭が昔に較べて把握しやすくなっている。低音好きは一聴の価値アリかもしれないな。
とはいうものの、こういった差異達は僅かでしかなく、音量のつまみを一目盛り上げ下げするだけで消え去る程度の効果しかない。今自分は聴き較べるつもりで聴いていたから些細な違いにも注意が向いていたけれど、言われなければ恐らく全くリマスタリングには気がつかなかっただろうな。自信があるぞ。(?)
ただ、これらの特徴はハイレゾ版になれば一層際立つ性質のものだと推察されるので、ハイレゾ版の購入にはそれなりの利得があるのではないかと察せられた。自分もそのうち購入するつもりだが、4200円という価格のコストパフォーマンスはどうなのかという疑問は残るものの、無駄にはならないだろうとは思える。シングル盤を消化し切れたタイミングにでもまたレポートすることを約束しておこう。…できれば、誰かを喜ばす為のものになることを期待して。(笑)
それにしても。『DISTANCE』っていい曲だね。こうやって18年後に振り返ってみると、以後『traveling』『COLORS』『Easy Breezy』『BLUE』『Flavor Of Life』『Goodbye Happiness』『道』『Play A Love Song』等々へと受け継がれていく“宇多田ヒカルの王道ポップ・ソング”の雛形は、この曲において完成していたんだなと感慨深くなった。万が一まだ聴いていない読者がいらっしゃるなら、こんな日記はほっぽっておいて今すぐサブスクに聴きに行ってみてくださいな。とっても、いいよ。