無意識日記々

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過去に無い五月を前に

ヒカルパイセンが5月に生配信するにあたって注意して欲しいなと思うのは「西洋と東洋の肌感覚の差」だ。

現況の「禍」の特徴は東西格差である。対策次第云々を抜きにして兎に角東洋と西洋で被害の差が大きい。更に被害拡大に時差がある。日本でいえば東洋由来の2月3月の第1波と西洋由来の4月の第2波の波状事態、一方ロンドンは西洋の代表的な都市として3月以降急激に状況悪化、という具合に。

ある程度なら、言語縛りでネットサーフィンすればロンドン在住でも日本の空気は伝わるかもしれない。しかし、幾ら想像力が強いとはいえ、今日本の街を歩いてる時の肌間隔は過去に経験のないもので、比較できるとすれば台風が来る日に無理矢理出掛けてみたみたいなところがある。極端だけど。こういうのにどこまで想像力が追いつくか。

ロンドンはもっと酷いかもしれないし、案外緩いかもしれない。ただ、身の回りに災禍が伝わってくる確率は日本の10倍とか100倍とかなのかもわからない。数字の組み合わせだけで想像するのも限度があるし、個々の体験談がどこまで特殊なのかを測る術も少ない。情報交流面でも異常事態なのだ。

ヒカルパイセン問答は、故に、質問の選択のセンス次第となってくる。世情に絡む話を積極的に取り上げるか否か。学生の皆さんは人生の将来について誰に経験談を聞ける訳でもない不安を抱えていたりするだろうし、そういった真面目な相談をパイセンに送ったりするかもわからない。切実なメッセージを読んでヒカルがそれを全スルーするのは性格的に出来ない相談となるかもしれない。

Instagramのストーリーを使って質問を24時間募集するとなると、短歌並みの短い質問しか送れないようだ。そのスペースで人生相談とはなかなかいかない。そういった事も見越した上でのセッティングであるのかもわからんね。企画自体が突貫工事だろうから、かなりの部分がヒカルのセンスに頼る事になる。それがいちばん信頼出来ると言ってしまえばそれまでなんだが、誤解の連鎖はそれこそ今のこの国の不機嫌をよく知っていないと警戒の度合いを設定しづらい。肌感覚はそういう局面で重要になってくる。

「今朝何食べました?」とか「新曲のここを聴いて欲しいとかある?」みたいな短く訊かれて短く答えられる問答なら滞り無いだろう。「今読んでる漫画は?」とか「いちばん最近聴いたアルバムは?」とかね。これが「勉強できなくて毎日が不安です。どうしたらいいですか?」とか「DVに悩んでます」とかになってくると途端に難しくなる。取り上げてよいものか、という判断からね。勿論、どう答えるかも難しい。それは普段であってもそうなのだが、現行の日本と英国の空気の差はそこを更に深める。やっぱり西洋在住の人のツイートと日本在住の人のツイート、空気が違うもんねぇ。同じ日本語、同じ英語を使っていたとしても。

全5回となると質問内容も多岐に渡るだろう。その上、2020年5月の1ヶ月間というのは、日本も英国も毎日情勢が変化して雰囲気もゆらゆら揺らめき続ける期間になるかもしれない。本当に予測不能なひと月となるだろう。

大体こういう複雑性が飽和する課題を突きつけられた時に貫くべきは「真心」であって、ヒカルについてはそこは全幅の信頼を置いているが、自虐を絡めて笑いを取りに行った時にやり過ぎるのだけは注意した方がいいかもね。気がつけばもうあと3日後の今頃には問答が始まっていたり終わっていたりなのである。もう時間も残り少ない。従前からの「いきあたりばったり」主義の精神でどこまでいけるやら。2曲の新曲発売と5回の生配信を孕んだ予測不能の1ヶ月が始まろうとしている。