5月にあったインスタライブの内容が事前に予想していたより遥かに盛り沢山だったので、もうまるでラジオの新番組みたいだったなーと。
そう捉えると2013年の『Kuma Power Hour with Utada Hikaru』との対比が凄くてさ。月イチで一年間放送して、一度もゲストなど来ることなく。自宅で完パケ作ってたんだからそれは仕方が無いともいえるかもしれないが、一年間で読んだお便りは一通も無い。唯一リクエストに応えてかけた曲はステレオフォニックスだったんだけど、それ照實さんからのリクエストだったんだよね。身内どころか送り手サイドの人間やんねうちらからしてみたら。ほんと、徹底して「宇多田ヒカルが気に入った曲をかけるだけ」のラジオ番組だった。それがよかった。
インスタライブは大違い。たった1ヶ月で五回の放送。うち四回はゲストとのトークが弾んだ。お便りも沢山受け付けいくつもの質問や相談にこたえた。最終回にはリスナーのご家庭に繋いで生テレビ電話状態になるなど非常に積極的な交流の姿勢をみせ、挙句の果てにはナマで弾き語りで歌いやがった。最近のお気に入りの音楽の話はJ.Husくらいだったか? 兎に角、ファンとリスナーと友達と繋がろうというコンセプトが明確な配信企画だった。
勿論、InterFMに完パケ納品するラジオ番組とインターネットでリアルタイム配信する動画ではやる事が変わるのは当たり前といえば当たり前だ。そして、昔に較べて他者との交流に積極的になっている事は『Fantome』や『初恋』のクレジットからも明らかだろう。しかし、あたしの印象としてはなぜか「変わらんねぇ」という感じなのよね。寧ろ、変わらず在れる自信があったからインスタライブをやったんじゃないかなと。完パケ納品すれば自分らしさをちゃんと封じ込められる、と7年前に考えていたのと同じ感じで、友達とお喋りしていても、リスナーのお便りで質疑応答をしても、実際にリアルタイムで会話しても自分らしく振る舞える自信みたいなものが今あるんでないかなーと。「らしさ」というと他人との違いを強調する事を考えてしまうかもしれないが、もっと透明で純粋な「変わらなさ」そのものを今ヒカルは表現出来ている。その感覚って『誰にも言わない』を聴いてる時に感じるあのフィーリングそのまんまなんだよね。ほんとあの歌は「今のヒカル」を端的に表現しているよなぁと。それを自分で作れてしまうというのがなんか、もう、途方も無いよ。今更だけど。