『WINGS』といえば
『エンディングの少し手前で閉じないで』
の一節も印象的で。最初聴いた時は「?」となって何のことかわからなかったのだが、前段に『大好きな作家の本を開いて』とあるから、本を閉じる事なんだと気がついた。あーわかるわ、あるある。
特にお気に入りの小説だと、その世界から帰りたくなくて、本が終わってしまうのが堪らなく寂しくなるもので。読み終わったらこっちに帰ってこないといけない訳で、残りページ数が少なくなってくるとどうしても最後まで読み切ってしまうのが勿体なくなってそこに至るまでに一旦本を閉じて我慢するというか妄想で補完するというか。印象的だった場面をもう一度振り返ってみたりなんかして。本の世界を終える事に臆病になるのよね。
だからここの歌詞は「(大好きな作家の本の)エンディングの少し手前で閉じないで」という意味だろうなと捉えていて。怖がらずに前に進みなさいよという一言なんだけど、この後、前回みたように
『明日に備え出来る事もあるけど早めに寝るよ今日は』
って、寝ちゃうんだよね。きっとエンディングの少し前で大好きな作家の本を閉じちゃって。いいよなあぁ。ほんと『WINGS』は、いい。
この歌もそうだけど、ヒカルの歌は優しいけど甘くないというか、どこかうら寂しかったり切なかったりする上で感じられる優しさで。甘やかされてる感じはしないのだけど(この歌でも甘えに悩んでるしね)、然り気無く肯定してくれるというか。「まぁそんな日もあるじゃんね」と一息を吐(つ)ける優しさなのだった。
でも案外、そういう歌って少なくてね。『WINGS』はその中でも、弱気と臆病に振り切ってそのまま終わる、寝てしまうっていう稀有なパターンで。この曲を知ってるか知らないかで人生大きく変わってしまう一曲なんだと思う。この歌が2006年の発売当時、とにかく「頑張れ、チャレンジしよう、トライし続けよう!」と発破をかける『Keep Tryin'』っていう宇多田ヒカル随一の熱い応援歌のカップリング曲だったっていうのが最高なのでした、よ。
ふぅ。
追伸として、ユニコーンの「風」と「風II」の歌詞を引用しておくか。あたしこれ最初に聴いた時は中学生だったかなぁ。ほんとはアルバムの流れの中で聴くからいいんだけどね。いやぁ、この歌たちほんと大好きで。これでフルコーラスです。約30秒の歌が2曲。
風:
明日は8時に起きて公園をジョギングして
部屋のそうじのあとは区役所に行くもんね
風II:
朝9時にむりやり起きたら雨が降ってるじゃないか
予定は明日にして僕はとこについた