無意識日記々

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それもきっと時間がたてばわかる

『サングラス』で『いつも強がりばかり』と歌っているのを聴いた後に『Prisoner Of Love』の『強がりや欲張りが無意味になりました』を耳にすると何と言うか感慨深いわねぇ。

それまで自分を偽ったり隠したりして生きてきたけどたったひとつの出会いで正直な自分を取り戻す、というかそこで初めて得ているのかもわからないな。そして『Time』に至っては更に『あの頃より私たち 魅力的 魅力的』とその出会いから先についても描いている。

一方で『あなた』のように母親目線を前面に押し出してきた曲も出来てたりして、勿論、毎度繰り返し述べてるように「歌詞は歌詞」なんだからそれは虚構だとまず受け止めるべきなんだが、単純にリスナーの方が『あの頃』と歌われた時にそれに相当する時間を積み重ねていていたりもするのが20年以上歌っているの人の周りで起こる事なのでね。例えば『道』の『調子に乗ってた時期もあると思います』だって、様々な過去を連想できて初めてジョークとして通用するんだし。その過去を知らない人も「そうなのか」と思うだけでいいのでこの歌を楽しむ時に過去が必要になる訳では無いのだが、歌詞を書いてるヒカルが「こんな風に捉える人もきっと居るよね」と思いながら歌っている感じは漂っている。

そこまでは普通といえば普通なのだが、ヒカルの場合デビュー曲で『時間がたてばわかる』と歌ったり(『time will tell』)、デビュー6年で『思い出せば 遥か遥か』と歌ったり(『Passion』)と最初から老成しているような雰囲気も醸し出してきた。つまり、実際は様々なフェイズの歌を歌っている中でリスナーの方が自分自身の状況を反映して“勝手に”歌詞を解釈して楽しんでいるということも出来るのだ。

最初に引用した『サングラス』と『Prisoner Of Love』の間には発表年月にして7年の隔たりがある。その間にヒカルが変わったというよりは、リスナーの“心構え”の方が変わっていったと考える方がしっくりくる。また将来、何十年後かにヒカルがコンサートで『time will tell』を歌った時、歌の持つ輝きは何ら損なわれる事無く、しかし、その場に居合わせた人々の受け取り方はまた今や20年前とは違ったものになっているだろう。なんだかそれも楽しみだわ。