無意識日記々

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Apple One

この週末から日本でもApple Oneのサービスが開始された。Apple Musicを主軸にApple TVやiCloudなど多重なコンテンツをパッケージしたサブスクリプション・サービスだ。現行のApple Musicが月額980円なのに対して月額1100円。なかなかに破格である。Appleが本格的に音楽のみならず映像やゲームも含めた配信事業に打って出てきたということか。

思い返してみれば不思議な感じだわ。Appleといえは80年代はMacintoshのメーカーという認識たった。国産のパソコンでは遊べないゲームが沢山リリースされていていいなぁ、みたいな。それはiMacなどから流れてくる21世紀のデバイスになっても基本は変わらなかったが、2001年にiPodが覇権を握った事で潮目が変わる。2007年には遂にiPhoneが登場。マックといえばマクドナルドだった人までiPhoneの新型リリースに注目するようになった。

計算機端末という意味では80年代のMacintoshから基本変わってはいなかったのだが、iPod囲い込みサービスとして始まったiTunes Music StoreiTunes Storeによるデジタルコンテンツの提供により徐々に潮目が変わり、Apple Musicを経てこのApple Oneに至る事で完全にハードのメーカーからコンテンツ・プラットフォームへの舵切りを完了したように思える。スティーヴ・ジョブズが鬼籍に入って以来iPhoneの進化にも行き詰まり感が出ていたようだし、確かにここらへんが潮時なのだろうな。

スマートフォン全体で見ても、かなり複雑なゲームをする人以外は機器のスペックにもうそんなに注意を払わなくなっている気がする。HD画質で動画を観れる程度動けばよく、あとは内蔵カメラの性能と通信環境整備だろう。

ここからコンテンツへの注目が更に加速していく事が予想されるのが2020年代、ということになるだろうか。こういうときにiPod宇多田ヒカルを入れていたスティーヴ・ジョブズが居ないのは何とも寂しいのだけれど、しかし、そういった例をみるまでもなく、音楽というジャンルの特質を考えた時に大事なのは国境や時差に囚われずに同じコンテンツを愛する人間が各地に居ると知る事だろう。「遠くの親類より近くの他人」という言い回しがあるけれど(表記揺れ多いなこれ)、デバイスの進化とサブスクリプションを通じてどの音楽にも世界中から平等にアクセスできるようになった現代は「近くの他人よりも遠くの同類」である。海の向こうにも同じ鼻歌を唄っている人がいる。それを知れれば国同士や人種同士の緊張関係などに惑わされる事も少なくなるだろう。

それと同時に、サブスクリプションが統合されていく事で音楽ソフトが今後も益々映像やゲームといったコンテンツと同じステージで競争させられていく場面も増えるかもしれない。しかし、ここからは統合をうまく使って他のメディアとの連携をより強めていくべきだろう。デバイス競走やプラットフォーム競走、メディア競走を経て、コンテンツ自体の魅力がそのまま関心の中心になるまであと一息である。ここからが長いかもしれないが、既にゲームやアニメやテレビや何やかんやとの繋がりが出来ているヒカルにとって時代の進展はひたすら追い風になる。向かい風にならないと飛ぶ気が起きない訳でもないだろうし、たまには順風満帆を眺めてみるのもいいのではないかしらん。