無意識日記々

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As trip music

ピンク・フロイドの名盤「狂気」はビルボードで通算15年間(連続ではない)トップ200入りしたモンスターアルバムだが、そうなった背景として、欧米ではこの音楽がドラッグ・パーティの定番BGMになっていたからというのがあるそうな。なるほどね。

彼らの音楽を聴いていると、そのトリップ感覚は寧ろもうそれだけで充分過ぎる程でドラッグなんか要らねーんじゃねーのと思うほどだが、きっと古来からヒトは精神的な儀式の為に怪しげな薬品の服用やらお香やらといったアイテムと同じく音楽も使ってきたんだろうなぁという気にはさせられる。心がここではないどこかに飛んでいくような、正しくトリップ感覚を生み出す為に。

ヒカルの書く楽曲にもたまに異世界に連れて行ってくれるものがある。最近だと『忘却』やら『夕凪』やらかな。特に『忘却』は、千葉くんのラップの生々しさに対してヒカルのヴォーカルがまるで天から降り注ぐような神々しさを湛えているので浮世離れ感が凄まじい。しかも本来であればこの曲には歌詞がなかったというのだからそれはもう直接的なトリップ感覚を齎しただろう。

世が世なら、この『忘却』のアナログEPが作られていたのかもわからんね。インストバージョンやリミックスパージョンも作って収録してクラブてプレイして貰えるような。……ひょっとしたら、そういう計画もあったんではないかなぁ。この曲、シングルカットもされずに唐突にビデオだけ作られて何だか不思議だったんだよね。もし仮にアナログ盤が出る計画が途中で頓挫してビデオだけ生き残ったのだとしたらそれで何だか合点がいきそうで。

もしかしたら、『忘却』がクラブて流れたら威力があり過ぎるのかもしれないな。それこそトリップ・ミュージックとして有用だったのかもしれない。なんだか色々考えさせられる。

勿論今書いた事は100%私の妄想に過ぎないのだが。しかし、ヒカルの音楽はたまにイントロが流れ出しただけで部屋の空気を一変させるようなマジカルな威力をもつ。その影響力に作り手側も受け手側もある程度自覚的であった方がいいかもわからないわね。

でも、大抵の曲は、胎教にもよさそうなくらいに穏やかで優しい。そこらへんは、性格が出てくれるわね。雨の朝だからかそんな事を思うのでありました。