無意識日記々

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『いつか神様があなたを遠くへ連れて行っても』

おぉぉ、チック・コリアが亡くなったのか。享年79。不摂生や劣悪な環境が祟って夭逝も珍しくなかった20世紀生まれのジャズ・ミュージシャンたちも昨今はなかなかに長生きしてくれていてそれは嬉しい事だったのだが、だからこそ現役感が強かった彼の訃報は響くな。

チック・コリアといえば『Hymn a l'amour 〜愛のアンセム』の元曲の片割れ、「スペイン」を作曲した方である。そもそもこの曲自体が20世紀を代表するスタンダード・ナンバーのひとつであり、だからこそそれを別ジャンル(シャンソン)のスタンダード・ナンバーである「愛の讃歌」と結び付ける方法論が斬新だった。ある意味、その斬新さは「スペイン」と「愛の讃歌」の知名度の高さに乗っかったものでもあったのだ。

そもそもなんでそんな斬新な発想が出てきたかといえば、ヒカルが元々チック・コリアをフェイバリットにしていたからだ。

『あとChick CoreaのReturn To Foreverもすごく好きになっちゃった。よく聴いてる。』

https://www.utadahikaru.jp/from-hikki/index_74.html

こちらは2006年4月20日のメッセ。23歳女子がこの台詞を書いてるかと思うとそれだけで萌える。なお“Return To Forever”というのは1972年発表のチック・コリアのソロアルバムの名称だがこの名作の成功を切っ掛けとしてこの後生まれたバンドの名称でもあるのでそこはちょっとややこしい。この時ヒカルが言ってるのはチック・コリアのソロアルバムの方だ。

『名古屋への日帰り一人旅から帰ってきた。BLUE NOTE NAGOYAでチック・コリア観てきたよー!!』

https://mobile.twitter.com/utadahikaru/status/15773332561461250

こちらは2010年12月17日のツイートである。『WILD LIFE 2010』が終わった直後にわざわざ新幹線に乗って足を運んで観に行ってきたという。熱心。

『こうなりゃ目指すところはチック・コリアですな』

https://twilog.org/utadahikaru/date-101218/asc

翌12月18日にもたっぷり関連ツイートしてくれてるので参照されたし。兎も角、ヒカルが尊敬して止まない偉大な偉大な鍵盤奏者が鬼籍に入った。上原ひろみなど彼と懇意にしていた日本のミュージシャンも数知れず、恐らく暫くは追悼企画が次々と立てられていくだろう。文字通り世紀と世界を跨いでこの惑星のありとあらゆる場所で愛された音楽家だった。謹んでお悔やみ申し上げます。