無意識日記々

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……にゃ?

昨夜は、五輪卓球競技33年の歴史の中で初めて日本女子代表個人戦でのメダルを獲得した。紛れもない大偉業の達成であった。大変めでたい。

ところが当の伊藤美誠は喜ぶどころか一切悔しさを隠さなかった。世界ランキング2位で三冠を公言していたのだからそれはそれで自然なのかもしれないが、こう、周囲は喜ぶのが当然と思っている事でも肝心の本人がそんなに喜んでいない場合、どう接すればいいか戸惑うもんだろね。

ヒカルさんの場合は、その戸惑いすらなかったな……いやね、デビュー当時の話さ。げいのう人になるんなら当然目立ちたがり屋で、周囲からちやほやされるのが無上の喜びだろうと最早無意識下で勝手に思い込んでるギョーカイの皆様にとっては、裏方志向のヒカルの性格は想定外どころか、そう公言しても聞く耳持たなかったというかそもそも日本語の識字能力がなかったというか。兎も角それがストレスだという事に思い至っている人間がそれはそれは少なかったように思う。22年前のちょうど今頃な。

東京五輪卓球競技の混合ダブルス決勝戦の関東地区での視聴率は24%強だったらしい。タイムラインを見返してみても、あたしがフォローしている全クラスタの人間が視聴していてその注目度は凄まじいものだったんだなと目を丸くしたのだが、1999年のヒカルの夏休み(6月からね)のテレビ出演時の視聴率はこれより更に上だったのだ。当時Twitterのタイムラインみたいなものがあったとすれば、混合ダブルス決勝戦より更に多くの投稿が全クラスタからあったんだろうかと想像するともう胃が痛い。異常過ぎる。

これでヒカルが他者からの注目を快感に思える人間だったならウィンウィンだったのだがさにあらず。10代の頃はハイテンションで誤魔化している所もあったが次第に物事はシリアスさを増していった。2004年に『エキソドス』をリリースした頃の英語圏インタビューでは人から注目される事の苦痛をこれでもかと吐露していた。つまり、新しい土地でまず積極的にアピールしたかったのは、「私は注目を浴びたい訳ではない」という点だったのだ。私はアジアのブリトニー・スピアーズなんかじゃないですよ、と何度も繰り返した。あたしもブリトニーの性格なんか知らないからそこは誤解してるかもだが。

そういう意味では、『エキソドス』がそこそこしか売れなかったのは実はラッキーだったのかもしれない。2009年の『ディス・イズ・ザ・ワン』の時にはプロモーションのし過ぎで(かどうかは結局の所わからんが)倒れちゃったからね。発売日に。やっぱり注目を浴び続けるのはストレスだったんだろうな。

ファンがヒカルのそういう性格を把握するのは大変重要である。福原愛が銅メダルで嘆く伊藤美誠に関して「軽々しくおめでとうとは言えない」と気遣いをみせていたらしいが、うちらはヒカルがそういう元来内気な性格であってもファンサービス満点で何万人という人間の前にたってコンサートを開催してきてくれた事は留意しておく必要があるだろう。ヒカルはヒカルで、苦痛が前面に出たらこちらとしては楽しむどころではないので、出来るだけステージに立つことを楽しめるような工夫が必要だろう。『Laughter In The Dark Tour 2018』ではある程度それが達成されていたように思うので、次のツアーでは更に突き詰めていって欲しいものだにゃ。